松本パルコ

松本PARCO

松本PARCOは、株式会社パルコが運営する長野県松本市にあるファッションビルです。北信越地方では唯一のパルコ店舗であり、トミーヒルフィガーや4°Cなどの有名ブランドをはじめ、様々なテナントが入居しています。若者を中心に幅広い年齢層の顧客で賑わいを見せています。

歴史

松本PARCOは、かつて信州ジャスコ松本店があった場所を再開発して建設されました。1978年に松本駅周辺に大型店が出店したことで、中心市街地の客足が減少したため、この状況を打開しようと再開発が計画されました。1981年3月に信州ジャスコが郊外に移転した後、跡地利用が問題となり、既存の百貨店やスーパーとの競合を避け、商店街の活性化を目的としてファッションビルとしての再開発が決まりました。

建物は「松本市中央商店街再開発」が所有し、パルコが運営を委託される形となりました。1984年8月23日に開業し、62店舗が入居、そのうち37店舗が婦人服専門店でした。開業当初、テナントの7割が長野県外の資本でした。建物は地下1階、地上5階建てで、延床面積は10,100平方メートル、店舗面積は6,551平方メートルでした。

松本PARCOの開業は、DCブランドブームと重なり、伊勢町周辺は若者とファッションの街として活気がありました。しかし、営業時間については、パルコ側が閉店時間20時、年間休業日数11日を希望したものの、商業活動調整協議会により、既存の大型店と同様に閉店時間18時30分、年間休業日数42日と定められ、その後も協議が重ねられました。1993年には年間休業日数が28日まで減少しました。

1990年代に入り、大規模小売店舗法関連の規制緩和により、松本市周辺では大型店の出店が相次ぎました。これに対し、商店街はパルコの増床を求め、パルコは北側を伊勢町商店街に面する新館（地上6階地下1階建て）を建設し、1996年4月5日に開業しました。これにより営業面積は15,000平方メートルに拡張されました。増床により一時的に来客数や売上は増加しましたが、1997年には消費マインドの冷え込みにより減少に転じました。

その後、改装を重ねて中高年や男性客層を取り込み、2006年度には年間売上高100億円を突破しました。しかし、2017年9月にイオンモール松本が開業するなど周辺の競争が激化。2020年秋にはイオンモール松本と共同で販促キャンペーンを実施しましたが、インターネットショッピングの拡大の影響も受け、2021年度の売上高は約40億円まで減少しました。親会社であるJ.フロント リテイリングが都市部に経営資源を集中させる方針のため、2025年2月末に閉店することが発表されました。

売上高

松本PARCOの売上高は、他の都心型PARCO店舗に比べると中規模です。売上高は月によって変動しますが、2017年度の年間売上高は72億円、前年比90.8%でした。

主なテナント

松本PARCOには、以下のようなテナントが入居しています。

GU
無印良品
ファイブホルン
ゴディバ
ABC-MART
好日山荘
ムラサキスポーツ
島村楽器
セカンドストリート
H.I.S.
animate
ヴィレッジヴァンガード

その他、様々なテナントが入居しています。

近隣の商業施設

松本PARCOの近隣には、以下の商業施設があります。

アルピコプラザ
井上百貨店
MMKビルコングロ・M
イオンモール松本
イトーヨーカドー南松本店
ハイランドシティ松本（イオン南松本店）
MIDORI松本

まとめ

松本PARCOは、長年にわたり松本市のファッションを牽引してきた商業施設です。しかし、時代の変化とともに競争が激化し、閉店という決断に至りました。地域住民にとって、松本PARCOは多くの思い出が詰まった場所であり、閉店を惜しむ声が多く聞かれます。

参考資料

武者忠彦「松本市における中心市街地再開発のメカニズム」『地理学評論』第79巻第1号、2006年、1–25頁、doi:10.4157/grj.79.1。

関連リンク

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