松村外次郎記念庄川美術館

富山県砺波市の彫刻と出会う場所：松村外次郎記念庄川美術館

砺波市庄川町に位置する松村外次郎記念庄川美術館は、彫刻家松村外次郎の作品を主に展示する公立美術館でした。1990年、松村外次郎氏自らが20点以上の彫刻作品を庄川町に寄贈したことがきっかけとなり、1989年に開館しました。

美術館は、庄川水記念公園内にあり、周囲の自然と調和した静謐な空間で、来館者はやすらぎを感じながら芸術と向き合うことができました。館内には、松村外次郎氏の代表作をはじめ、力強い生命力を感じさせる木彫や、繊細な表現が光るブロンズ像など、多様な作品が展示されていました。

松村外次郎氏の作品以外にも、地元出身の洋画家である藤森兼明氏の作品や、富山県ゆかりの作家たちの絵画、彫刻、工芸品なども展示され、地域文化の豊かさを伝える役割も担っていました。

美術館の建物は、エントランスホール、ミュージアムショップ、ラウンジ、松村外次郎記念室など、来館者が快適に過ごせる空間を備えていました。また、企画展示室では、定期的に様々な企画展が開催され、来館者に新鮮な驚きと感動を提供していました。

松村外次郎氏の代表作

美術館には、松村外次郎氏の代表作である数々の彫刻作品が収蔵されていました。その中には、『天の川』（1935年）、『逢瀬』（1956年）、『裸婦（立像）』（1957年）、『かみなり』（1960年）、『ふたり』（1973年）、『母子像』（1976年）、『朱雀』（1980年、1987年）、『元武』（1981年）、『鳳龍』（1982年）、『白虎』（1985年）、『弁財天』（1989年）など、氏の芸術的才能が存分に発揮された作品が含まれていました。これらの作品は、それぞれ異なる技法やテーマを用いながら、人間の感情や自然の力強さを表現しています。

その他の収蔵作品

松村外次郎氏の作品だけでなく、藤森兼明氏の『サンマルコ逍遥』『大天使ミカエル』『自画像』『母（きみ）』などの絵画作品、そして、齋藤清策、島田四郎、田上桜舟、林清納といった他の画家たちの作品も展示されていました。彫刻では、辻志郎氏の『人間門』（1965年）、『スペースタイム』、齋藤尤鶴氏の『風のささやき』など、多様な作家の作品が鑑賞できました。さらに、林哲三氏の『欅拭漆木象嵌短冊箱』などの工芸作品も収蔵されていました。

閉館と今後の展望

砺波市は2020年に公共施設再編計画を策定し、老朽化を理由に、2023年度末をもって庄川美術館を閉館することになりました。この決定に対し、市民団体『庄川美術館・水資料館を活かす会』は施設の存続を求める署名活動などを行いましたが、市側の決定は覆りませんでした。閉館に伴い、2023年2月には「さよなら庄川美術館展」が開催され、多くの市民が別れを惜しみました。

現在は、展示作品は砺波市庄川支所や庄川水記念公園などに一時保管されており、今後、砺波市美術館などへの移設が検討されています。大型のブロンズ像などは、庄川水記念公園での屋外展示の可能性も検討されているようです。

長きにわたり地域文化の発展に貢献した松村外次郎記念庄川美術館は閉幕しましたが、その歴史と、そこに展示されていた芸術作品は、多くの人々の記憶に刻み込まれ、新たな場所で再び輝きを放つことを期待しています。

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