桐山秀樹

桐山秀樹（きりやま ひでき）は、1954年2月4日に愛知県名古屋市で生まれた日本のノンフィクション作家です。多岐にわたる分野で健筆を振るいましたが、2016年2月6日、62歳で惜しまれつつ逝去しました。

学習院大学法学部で学んだ後、雑誌記者としてのキャリアをスタートさせました。その後、フリーランスの作家として独立し、幅広いテーマで執筆活動を展開しました。文芸評論家として活動していた吉村祐美氏は、彼の人生のパートナーでした。

作家としての初期段階では、ホテル、旅行、リゾート、レストランといったサービス産業のビジネス動向や内幕を深く掘り下げた作品で高い評価を得ました。特に、現代のホテル業界の激しい競争や再編の動きを描いた『ホテル戦争』は、この分野における彼の代表作の一つとして広く認識されています。サービス業に関する鋭い分析と分かりやすい筆致は、多くの読者にその知識を提供しました。この他にも、企業経営や人物評伝など、ビジネスや経済をテーマにした多数の著作を発表しています。

彼の作家人生における大きな転機となったのは、2010年に自身が糖尿病と診断されたことでした。この経験をきっかけに、京都の高雄病院で糖質制限食を提唱していた江部康二医師との出会いを経て、本格的に糖質制限食による治療と体重管理に取り組みます。その結果、20kgを超える劇的な減量を成功させ、糖尿病の改善を達成しました。

自身のこの実体験を基にしたノンフィクション『おやじダイエット部の奇跡 「糖質制限」で平均22kg減を叩き出した中年男たちの物語』は、同じような健康の悩みを抱える多くの人々から強い支持を得て、ベストセラーとなりました。この書籍の成功を機に、桐山氏は糖質制限ダイエットや健康法に関する著作を精力的に執筆。自身の体験談や、糖質制限に取り組む人々の事例などを通して、その効果や実践方法を分かりやすく解説しました。共著や監修を務めた関連書籍も多数出版されており、彼の健康問題への関心の深さと、それを伝えることへの情熱がうかがえます。晩年の彼の著作活動は、この健康テーマが中心となり、多くの読者に影響を与えました。

サービス業界の専門家としての視点から、自身の健康克服記、さらには人生論や文化論に至るまで、桐山秀樹の著作は非常に多様なテーマを扱っています。初期の分析的なビジネス書から、晩年の実体験に基づいた健康本まで、その作品群は彼が好奇心旺盛で多角的な視点を持つ作家であったことを示しています。例えば、『ホテル戦争』のほかにも、経営者を描いた『目利き シリコンバレーのスター経営者たちが最も信頼する日本人』や『プリンスの墓標 堤義明怨念の家系』、サービス業界を掘り下げた『旅館再生 老舗復活にかける人々の物語』などがあります。そして、ベストセラーとなった『おやじダイエット部の奇跡』やその続編、『糖質制限ダイエットで何の苦もなく糖尿病に勝った！』といった健康関連書は、彼の後半生の活動の核となりました。吉村祐美氏との共著による軽井沢に関する書籍やクラシック音楽に関する書籍、江部康二医師との共監修による糖質制限レシピ本なども含め、その著作は多岐にわたります。

精力的に活動を続けた桐山氏ですが、2016年2月6日、心不全のため、その生涯を閉じました。彼の残した多くの著作は、サービス業界の知られざる世界や、健康に対する新たな視点を提供し、今なお多くの読者に読まれ続けています。

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