桔梗が丘駅

桔梗が丘駅：高度経済成長と郊外開発を象徴する駅

三重県名張市桔梗が丘一番町に位置する近畿日本鉄道大阪線桔梗が丘駅は、1964年10月1日に開業しました。近鉄大阪線の名張駅と美旗駅間に新設された同駅は、名張市初の大規模団地である桔梗が丘住宅地の開発と、伊賀線の西名張駅～伊賀神戸駅間の廃止という、ふたつの大きな出来事が背景にあります。

桔梗が丘住宅地の着工は1963年。高度経済成長期、多くの団塊の世代が移り住み、名張市の人口増加に大きく貢献しました。桔梗が丘駅はその玄関口として、開業当初は周囲に建物がほとんどない状況でしたが、住宅地の発展とともに利用者数も増加。最盛期の1995年には、一日平均13,129人の利用を記録するまでに至りました。

しかし、時代の流れとともに状況は変化します。近隣住民の高齢化が急速に進み、2014年には最盛期の半分以下の利用者数に減少。現在は、無人駅として運営されています。

駅の構造と設備

桔梗が丘駅は、相対式ホーム2面2線の掘割駅で、橋上駅舎を有しています。ホームの有効長は10両分確保されており、改札口は1ヶ所のみ。南北両側に1ヶ所ずつ出入口があり、それぞれの近くにバス乗り場が設置されています。

名張駅管理の無人駅ながら、PiTaPaやICOCAに対応した自動改札機、自動精算機が設置され、利便性が考慮されています。また、特急券や定期券の購入も専用の自動券売機で行えます。

停車列車と利用状況

快速急行以下の全一般列車が停車し、朝と夜の時間帯には一部の特急列車も停車します。日中の停車本数は、急行が毎時2本、普通列車が毎時1本ですが、朝夕は快速急行も加わり、最大6本まで増加します。

近年の1日平均乗降人員は、2022年11月8日の調査で4,200人台と、最盛期から大幅に減少しています。過去データを見ると、2005年には8,918人を記録していましたが、その後は減少傾向が続いています。この利用状況の変遷は、人口構造の変化や交通手段の多様化といった社会情勢を反映していると言えるでしょう。

駅周辺とアクセス

駅周辺にはバス路線が充実しており、桔梗が丘団地内はもちろん、名張市街地や近隣の地域へのアクセスも容易です。南口と北口それぞれに複数のバス路線があり、名張駅、名張市立病院、MEGAドン・キホーテUNY名張店などへの路線が運行されています。さらに、上野市駅や伊賀上野駅前への路線バスもあります。

月ヶ瀬梅林の観梅時期には、名張駅から桔梗が丘駅を経由する臨時バスも運行されます。

桔梗が丘駅の未来

桔梗が丘駅は、高度経済成長期から現代までの社会変遷を象徴する駅と言えるでしょう。かつては活気に満ちた駅でしたが、現在では利用者数の減少という課題に直面しています。今後の地域開発や交通政策によって、どのように変化していくのか、注目すべき点です。

隣の駅

名張駅
美旗駅

備考

* 平井堅の楽曲「桔梗が丘」のミュージックビデオは、当駅で撮影されました。

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