椿屋珈琲

椿屋珈琲とは

椿屋珈琲は、東和フードサービス株式会社が運営する日本の喫茶店チェーンです。主に首都圏エリアを中心に展開し、2023年7月時点で約50店舗を数えます。一般的なカフェとは一線を画し、「脱日常体験」をコンセプトに掲げた高級喫茶店として知られています。

特徴とこだわり

椿屋珈琲の最大の魅力は、その特別な空間と提供されるコーヒーにあります。

空間演出

店舗の内装は、まるでタイムスリップしたかのような「大正ロマン」を基調としています。大正時代に流行したアール・ヌーヴォー様式の花器や、美しい銀細工などが飾られ、使われる茶器はロイヤルコペンハーゲンやウェッジウッドといった高級ブランドのものが選ばれています。さらに、店舗ごとに異なるデザインのステンドグラスや絵画が設えられており、訪れる度に新しい発見があるのも特徴です。この豪華な内装には、一店舗あたり約1億円もの初期投資がかけられていると言われています。接客スタッフの制服も特徴的です。女性は胸当て付きのエプロン、男性はクラシカルなベストを着用しており、大正時代のメイドやウェイターをイメージしたデザインが採用されています。これらのこだわりが、「脱日常体験」というコンセプトを具現化し、落ち着いた上質な時間を提供しています。

コーヒーへのこだわり

提供されるコーヒーは、自家焙煎されたこだわりの豆を使用し、一杯ずつ丁寧にサイフォンで抽出されます。サイフォン式で淹れることで、コーヒー豆本来の風味を最大限に引き出し、香り高くクリアな味わいを実現しています。また、全席禁煙の店舗が増える中でも、椿屋珈琲では喫煙目的店や、分煙された喫煙ブースを設けている店舗が多く存在し、愛煙家にも配慮した空間を提供しています。

沿革

椿屋珈琲の歴史は、運営会社である東和フードサービスの歩みと深く関わっています。

1974年：東和産業株式会社として設立され、「コーヒーハウス」の第1号店が銀座にオープンしました。
1996年：銀座七丁目の花椿通りに「椿屋珈琲店」が開業し、現在のブランドの礎が築かれました。
1999年：フードサービス事業を分社化し、東和フードサービス株式会社が設立されます。
2000年：外食産業における功績が認められ、農林水産大臣賞を受賞しました。
2004年：JASDAQ市場に上場を果たし、企業としての基盤を強化しました。
2011年：省エネルギーへの取り組みが評価され、東和J’Sグループとして省エネ大賞資源エネルギー庁長官賞を受賞しています。
2021年：喫茶店だけでなく、ケーキや洋菓子を専門に扱うテイクアウトショップを立川と調布にオープンし、新たな業態にも挑戦しました。
2023年：より利用しやすくなるよう、スマートフォン向けの公式アプリ「椿屋珈琲グループアプリ」をリリースしました。

名称の由来

「椿屋珈琲」という名称は、1号店である銀座本館が位置する、銀座七丁目の「花椿通り」に由来しています。かつてこの一帯は「出雲町」と呼ばれていましたが、昭和初期に街路に藪椿が植えられたことから「花椿通り」という愛称が定着し、それが後に正式名称となりました。椿屋珈琲の名は、この歴史ある通りの名に敬意を表して名付けられたものです。

業態の多様性

椿屋珈琲グループは、「椿屋珈琲」の他に、「椿屋茶房」「椿屋カフェ」「茶寮SIKI TSUBAKIYA」といった異なるブランドを展開しています。それぞれの業態は、立地やターゲット層に合わせてコンセプトやメニュー、内装に違いがあり、より幅広いニーズに対応しています。

椿屋珈琲は、自家焙煎の本格的なコーヒーと、非日常的な大正ロマン空間で、ゆったりとした上質な時間を過ごせる喫茶店として、多くの人々に支持されています。その歴史とこだわりは、創業以来受け継がれ、進化を続けています。

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