楽天マート

楽天マートは、楽天グループ傘下の楽天マート株式会社が運営するネットスーパー事業です。2024年 9月25日に新たな形態でサービスを開始しました。生鮮食品や乳製品、冷凍・冷蔵品といった日常的な食材に加え、楽天市場で人気のお取り寄せスイーツや、デパ地下で展開されるようなブランドの商品、さらには地方の特産品なども豊富に取り揃えているのが特徴です。

現在の楽天マートは、かつて楽天グループと西友が共同で運営していた「楽天西友ネットスーパー」のうち、倉庫から出荷を行う事業を継承し、その名称を改める形で始まりました。楽天西友ネットスーパー株式会社は、楽天グループと西友の合弁会社として2018年4月に設立され、同年10月には本格的なサービスを開始しました。神奈川県横浜市の港北、千葉県松戸市、大阪府茨木市に設けられた物流センターを拠点として、広範囲への配送を手掛けていました。横浜の物流センターは2021年に、茨木は2022年1月19日に、松戸は2023年2月28日にそれぞれ稼働を開始しています。

しかし、この合弁関係は2023年12月20日に解消されます。楽天西友ネットスーパー株式会社は楽天の完全子会社となり、その後2024年8月8日には社名を楽天マート株式会社へと変更しました。そして、2024年 9月25日をもって、同社が運営する倉庫出荷型ネットスーパー事業の名称を「楽天マート」と改称し、新たなスタートを切ったのです。

「楽天マート」という名称は、実はこれ以前にも存在しました。2012年 7月9日、別の楽天マート株式会社によって関東圏限定のネットスーパーとしてサービスが開始されたのが最初です。当初は生鮮食料品や日用品を中心とした品揃えでしたが、サービス開始から約一年後の2013年3月には、東京、神奈川、千葉、埼玉の71区市へと配送エリアを拡大。その後も順次エリアを広げ、現在は全国へとサービスエリアを拡大し、取り扱いアイテム数も約13,000点にまで増加。ペット用品やベビー用品といった幅広い商品を取り揃えるようになりました。旧楽天マートの大きな特色の一つは、楽天市場で人気の高いお取り寄せグルメや、有名ブランドのスイーツ（LeTAOやR.L waffleなど）、さらにはローソンのプライベートブランド商品なども購入できた点にあります。

サービス開始当初は週に一度紙のカタログを発行していましたが、2015年5月には楽天市場とのシステム連携が実現したことで、カタログ発行を終了し、ウェブサイト上でのマーケティングに軸足を移しました。この連携強化により、楽天市場で開催される「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」といったイベントにおいて、楽天マートでの購入が「ショップ買いまわり」の対象となるなど、楽天市場のエコシステムとの結びつきが深まりました。また、2017年7月には送料無料となる購入金額の基準が、税込5,000円から3,500円へと引き下げられています。

旧楽天マート株式会社は、2018年 2月1日に楽天株式会社に吸収合併される形で解散し、一度その歴史に幕を閉じます。楽天はこの時期、自社が運営するマーケットプレイス型の「楽天ネットスーパー」という別のサービスも展開しており、楽天マートとは異なるビジネスモデルでした。

このように、旧楽天マートのサービス終了と、楽天西友ネットスーパーの誕生・発展、そしてその後の合弁解消と社名変更を経て、2024年に「楽天マート」の名称が約6年ぶりに復活したという流れになります。

現在の楽天マートの主な特徴としては、楽天ポイントの利用が可能であること、そして税込3,500円以上の購入で送料が無料になる点が挙げられます（この送料無料基準は、旧楽天マート時代の2017年7月に5,000円から引き下げられたものが引き継がれています）。配送エリアは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県といった関東圏に加え、大阪府、兵庫県、京都府の関西圏もカバーしています。配送は最短で注文翌日から可能で、最大で注文日から3日後まで指定することができます。

かつては楽天マート、楽天ネットスーパー、そして楽天西友ネットスーパーと複数のネットスーパー事業を展開していた楽天グループですが、2024年9月以降は「楽天マート」として、特に倉庫出荷型のモデルを基軸としたサービスを提供しています。これは、これまでの事業運営で培われた物流網や商品調達のノウハウを活かしつつ、楽天市場との連携をさらに強化していく姿勢の表れと言えるでしょう。消費者は、日常の買い物から特別な品までを、楽天のサービスを通じて一括して手軽に利用できるメリットを享受できます。今後のサービス展開にも注目が集まります。

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