樋上いたる

樋上 いたる（ひのうえ いたる）

樋上いたるは、日本の女性原画家として知られ、独特のイラストスタイルを持つアーティストです。彼女は3月1日生まれで、大阪府出身です。現在はネクストンで活動しています。専門学校の漫画家プロ養成科を卒業した後、創作の道に進むことを決意しました。

ペンネームの由来

樋上のペンネームは、彼女が愛してやまないキャラクターの名前と友人の上司の名前から名付けられたというユニークな背景があります。この名前は彼女自身の作品に対する熱意を反映しています。

絵柄「いたる絵」

樋上の描く特徴的な絵柄、通称「いたる絵」は、極端に描かれた目や顔の中心に集まった鼻と口が特徴です。このスタイルは彼女に対して賛否が分かれ、一部からは批判されることもあるのですが、ライターの佐藤心によれば、彼女の絶妙な表情を描く技術はまさに神業レベルだと言われています。評論家の黒瀬陽平は、樋上の作品が多くのプレイヤーにリアリティを与える理由として、美術史家アビ・ヴァールブルクの「情念定型」の概念を引用しています。

経歴の詳細

樋上は高校時代に漫画研究部に所属しており、漫画家を目指す道を選びました。専門学校在学中にPCゲーム『同級生』という作品に触れ、ゲーム業界への道を志しましたが、学校の求人広告にその道の情報がなかったため、独自に求人を探しました。結果、TGLという企業でグラフィッカーとして採用されました。しかし、未経験のため、山本和枝から実際の制作過程を教わることになりました。

その後、樋上はビジュアルアーツの前身であるビジュアルアーティストオフィスに移籍し、PCゲーム『たまご料理』のグラフィッカーとして参加。1年間の情熱的な活動の後、ネクストンに入社し、原画家としての道を歩み始めました。Tacticsで原画を担当しながら、同社の他のアーティストたちと共に次第に重要なプロジェクトに関わります。最終的には、Keyの設立メンバーとしての活動に着手しました。

樋上のキャリアには特筆すべき作品も多く、2006年には新たなブランド「pekoe」からボーイズラブゲーム『ぼくらはみんな、恋をする』で原画を手がけ、成功を収めました。また、2007年から2010年にかけては、インターネットラジオ『Keyらじ』のパーソナリティとしても活動しました。

さらに、2008年には大々的なプロジェクトとなる『Rewrite』で企画原案も担当し、樋上のキャリアの重要なポイントとなりました。また彼女は、ホラーゲームの新プロジェクト『HOLY BREAKER!』を立ち上げ、様々な形でアート活動を広げています。

2016年にはビジュアルアーツを退職し、フリーとしての活動を開始。その後2021年、再びネクストンに戻り、原画家やデザイナーとしての役割を果たしています。

主な作品一覧

樋上いたるは数多くの作品に関与しており、そのいくつかを以下に示します。

• - ボンびいボンボン! (ビジュアルアーツ)
• - たまご料理 (1995年、サブ)
• - Phantom Lady (1996年、キャラクターデザイン/CG)
• - Kanon (1999年)
• - AIR (2000年)
• - CLANNAD (2004年)
• - リトルバスターズ! (2007年、キャラクター原案)
• - Rewrite (2011年、企画原案も担当)

樋上いたるは、独自のスタイルと作品により、ゲーム業界やイラストレーションの世界に大きな影響を与える存在となっています。これからの活躍にも期待が寄せられています。

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