横手市増田まんが美術館

横手市増田まんが美術館

横手市増田まんが美術館は、秋田県横手市増田町に位置する、日本初の「漫画原画」をテーマにした美術館です。増田町出身の漫画家、矢口高雄氏の功績を記念し、1995年に開館しました。

概要

当館は、漫画原画の保存に力を注いでおり、国内外の著名な漫画家約180名の原画、およそ45万点を所蔵しています。これらの原画は、美術館内の設備で最大70万点まで保存可能で、現物保存に加えて、経年劣化を防ぐためにデジタルデータとしても保存されています。

原画の整理作業は、ガラス越しに見学できます。温度と湿度が管理された「マンガの蔵」や、収蔵棚から原画を閲覧できる「ヒキダシステム」、デジタル化された原画を拡大表示できる大型タッチパネルなど、貴重な原画を保護し、来館者が楽しめるような工夫が凝らされています。

美術館は原画の保管だけでなく、文化庁の委託事業である「マンガ原画アーカイブセンター」を併設し、漫画原画の保存に関する相談窓口としての役割も担っています。また、館長の大石卓氏と講談社の森田浩章氏が設立した「マンガアーカイブ機構」も当館に設置されており、原画保存に向けた様々な取り組みが行われています。

館内には、74名の作家の原画を展示する常設展示室や、漫画の制作工程を紹介するマンガ文化展示室、企画展を開催する特別展示室があります。その他にも、漫画の名場面や名言を吹き出しで展示した「名台詞ロード」、約2万3000冊の漫画が揃う「マンガライブラリー」、軽食を楽しめる「マンガカフェ」など、漫画にまつわる様々な施設が充実しています。マンガの蔵や常設展示室以外は写真撮影が可能なため、多くの人がフォトスポットとして楽しんでいます。

沿革

1991年に漫画の普及施設として建設計画が始まり、1995年10月21日に「増田ふれあいプラザ」の一角に「増田まんが美術館」として開館しました。

美術館は、『釣りキチ三平』などで知られる矢口高雄氏の功績を記念して設立されましたが、手塚治虫記念館や水木しげる記念館のような個人名を冠した美術館ではありません。これは、矢口氏自身が「自分の死後も美術館が存続するように」「自分の名前で終わらせたくない」という意向を示し、他の漫画家の原画も幅広く収蔵できる「みんなのまんが美術館」を目指したためです。また、漫画の文化的地位がまだ低かった当時、公的な施設である美術館に取り入れることで、漫画原画の価値を広く伝えたいという思いもありました。

2005年10月1日、市町村合併により「横手市増田まんが美術館」に名称が変更されました。

2015年には、矢口氏から約4万2000点の原画が寄贈されたことを契機に、2017年から秋田県と横手市が協力して「漫画原画の保存と展示に特化」した美術館へとリニューアル。2017年4月1日から2019年4月30日まで休館し、2019年5月1日にグランドオープンしました。リニューアル後は、生涯学習機能が分離され、漫画美術館単独の施設となりました。

2020年5月1日には、文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律に基づき、観光庁大臣の認定を受けています。

2020年11月に矢口氏が逝去された後、名誉館長が不在でしたが、2021年4月には高橋よしひろ氏が新名誉館長に就任しました。高橋氏は2017年に自身の漫画原画を同美術館に預けており、原画保存の取り組みに理解を示し、協力しています。

利用情報

所在地: 秋田県横手市増田町増田字新町285番地
開館時間: 午前10時～午後6時（最終入館：午後5時30分）
休館日: 第3火曜日（祝日の場合は翌日）
入館料: 常設展は無料（特別企画展は有料）

アクセス

鉄道・バス: JR奥羽本線 十文字駅より羽後交通バスで増田蔵の駅バス停下車、徒歩8分。十文字駅から徒歩30分。
自動車: 東北中央自動車道 十文字ICから約10分。

外部リンク

横手市増田まんが美術館
一般社団法人 増田町観光協会
* 高橋よしひろ×宮下あきら、青春時代を語る。横手市増田まんが美術館リニューアル記念イベントレポート - マンバ通信

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