樹木医

樹木医（じゅもくい）について

樹木医、即ち「tree doctor」とは、日本における特定の民間資格であり、街路樹や自然の記念物、さらには文化財として指定された樹木に対する保全および治療を行う専門職を指します。樹木は私たちの生活環境に欠かせない存在であり、それらの樹木を適切に管理する専門家の必要性が高まっています。

樹木医認定制度の始まり

この樹木医制度は、1991年4月に林野庁によってスタートしました。その目的は、地域の樹木を保護・管理することです。初めて樹木医の資格を得たのは76名で、同年11月に認定されました。その後、制度は民間資格に移行し、現在の運営は一般財団法人日本緑化センターが行っています。

樹木医という名称は元々、農林水産大臣による認定資格でしたが、1996年には政府が公的な資格認定業務から撤退し、以降は日本緑化センターがその役割を担っています。商標登録も1997年に行われており、樹木医の称号は、審査を通過した者のみが使用できるようになっています。

樹木医の活動内容

樹木医は、文化財や天然記念物に指定された樹木の診断・治療、街路樹に関する危険性評価など、さまざまな業務を行います。特に、国や地方公共団体からの依頼により、重要な樹木の保全活動が行われることが多く、樹木医の専門知識と経験が求められます。このため、樹木医の資格を保有する専門家は、幅広い分野で活躍しています。

資格保持者の多くは、日本樹木医会に所属しており、そこで技術研修や情報交換を行っています。また、関連する学会として樹木医学会も存在し、樹木の治療に関する研究や教育が進められています。これにより樹木医は、専門知識と技術のさらなる向上を果たしています。

資格取得のプロセス

樹木医として認定されるためには、日本緑化センターが定めた厳格な審査を通過する必要があります。まず、受験者は樹木に関する業務経験が5年以上あることが求められ、もしくは樹木医補の資格を持った上で、1年以上の業務を果たしている必要があります。

試験は二段階に分かれており、第1次審査では筆記試験と業績審査が行われます。これに合格した受験者は、2次審査として約2週間の研修に参加し、講義や実習を受けます。さらに、この段階では毎日行われる筆記試験や樹種識別の適性試験、最終的な面接試験をクリアしなければなりません。多くの受験者が望む認定資格を得るためには、高い競争率を乗り越える必要があります。

更新と関連資格

樹木医は登録名簿に掲載され、5年ごとに更新が求められています。また、樹木医とは異なる資格である「樹医」や「樹木内科・外科医」などとは無関係であることも覚えておく必要があります。

著名な樹木医

樹木医の資格を持つ著名な人物として、1992年に女性で初めて樹木医資格を取得した塚本こなみ氏が挙げられます。彼女ははままつフラワーパークの理事長として、樹木の保全や管理に貢献しています。

まとめ

樹木医は、私たちの生活環境に深く関与する職業です。資格を通じて、樹木に対する理解を深め、保全活動を行うことで、より良い環境を次世代に引き継ぐことが求められています。

もう一度検索