樹皮

樹皮（じゅひ、英: bark）

樹皮とは、樹木の幹や枝の最外層を形成する組織であり、一般的には死んだ細胞から構成されています。生物学や林学の分野では、樹木の維管束形成層の外側に位置するすべての組織を含めて樹皮と呼ばれます。これにより、樹皮には靭皮（にじしぶ）や周皮が含まれ、植物の種類や成長状況によってその外観や機能は変化します。

樹皮の構造

樹皮は主に、内側の靭皮と外側の周皮からなります。靭皮は二次師部として知られ、樹木の茎や根において形成される生きた細胞から成り立ちます。外側の周皮は、コルク形成層から発展した部分で、主に死んだ細胞で構成されています。これらの細胞は水分を保持し、外部の環境に対するバリアとして機能します。

コルクと靭皮

コルク組織は厚く、密集した細胞から成り、主に水や空気を通しません。コルク形成層は成長につれて外に押し出され、新たな層が形成されるプロセスを繰り返します。靭皮は活発に水分や栄養素を運搬し、樹木にとって生命維持に不可欠です。また、コルク組織の特徴として、外面的に裂けたり剥がれたりする方式が植物種によって異なり、これが樹木の識別にも役立ちます。

樹皮の機能

樹皮は植物の表面を保護する重要な役割を果たし、特にコルクの細胞はスベリンという物質を蓄積し、防水性や防腐性を持っています。これにより、寄生菌や有害物質の浸入を防ぎ、また水分の蒸発を防ぐ効果があります。樹皮が持つこの保護機能は、植物が生存する上で非常に重要です。

皮目（ひもく）

樹木には皮目と呼ばれる特殊な部位があり、ここではガス交換が行われます。皮目は外部のガスを取り入れるための構造で、特定の環境条件下で進化しました。皮目の形や大きさは植物の種類によって異なり、これは種の特性を識別する手助けとなります。

樹皮の利用

樹皮は、その性質から多くの用途に利用されています。以下はその一部を紹介します。

• - コルクの利用: コルクはワインの栓や防音性、断熱性に優れており、工業的に広く利用されています。特に、コルクガシから得られるコルクは、高品質な製品として重宝されています。

• - 天然繊維: 樹皮から得られる靭皮繊維は、和紙や衣類の生地として活用され、伝統的な製品の材料としても使われています。

• - 食用・薬用: 樹皮には栄養が含まれるため、非常食や香辛料として利用されてきました。また、薬用としても多くの植物の樹皮が使用されています。

• - 工芸品: 樹皮は工芸品やピーク材としても利用され、日本の伝統工芸である樺細工は特に有名です。

• - 肥料や土壌改良材: 樹皮を堆肥化した製品は、園芸における土壌改良材として利用されています。また、粉砕した樹皮はマルチング材としても役立ちます。

環境問題と樹皮の重要性

樹木は環境保護において重要な役割を果たしていることから、樹皮の健康管理や適切な利用方法は、持続可能な森林管理の一環として考えられています。樹皮は私たちの生活に多くの恩恵をもたらし、自然環境を守るうえでも重要な資源であると言えます。

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