周皮

周皮（Periderm）とは

周皮は、樹木の幹、枝、根の表面を覆う複合組織であり、植物体を保護する重要な役割を担っています。特に二次肥大成長を行う植物（木本植物）において、表皮に代わって植物体を保護する役割を果たします。

周皮の構造

周皮は、以下の3つの主要な組織から構成されています。

1. コルク形成層 (phellogen)：分裂組織であり、内側と外側に新たな細胞を形成します。
2. コルク皮層 (phelloderm)：コルク形成層の内側に形成される柔細胞組織です。
3. コルク組織 (phellem)：コルク形成層の外側に形成される組織で、細胞壁にスベリンや蝋が蓄積した死細胞から構成されます。このコルク組織が、周皮の主要な保護機能を担っています。

これらの組織が組み合わさることで、周皮は植物体を外部環境から守る強固なバリアとして機能します。

周皮の形成過程

二次肥大成長に伴い、茎や根の直径が増加すると、表皮や皮層は外側に押し出され、崩壊します。このとき、皮層の一部細胞が分裂能を回復し、コルク形成層へと変化します。コルク形成層は内側にコルク皮層を、外側にコルク組織を形成し、周皮が完成します。

最初のコルク形成層は表皮のすぐ内側の皮層に由来することが多いですが、より内側の皮層細胞や維管束に近い皮層細胞に由来することもあります。維管束形成層の働きにより、コルク形成層も外側に押し出され、新しいコルク形成層が内側に形成されるというプロセスを繰り返します。

根においては、コルク形成層は内鞘に形成されることが多いです。

コルク組織の特徴と機能

コルク組織は、周皮の最も外側に位置し、植物体を保護する上で中心的な役割を果たします。コルク細胞の細胞壁には、スベリンや蝋といった疎水性の物質が蓄積しているため、水や空気を通しにくい性質があります。このため、コルク組織は植物体からの水分の蒸散を防ぎ、病原菌や害虫の侵入を抑制するバリアとして機能します。

また、コルク組織は断熱性にも優れており、急激な温度変化から植物体を守ります。さらに、コルク組織は柔軟性があり、外部からの物理的な衝撃を吸収する役割も果たします。

周皮と樹皮

広義の樹皮は、維管束形成層より外側にある全ての組織（二次師部と周皮）を指しますが、狭義の樹皮はコルク組織のみを指します。樹皮の割れ方や剥がれ方は、樹種によって異なり、樹皮の特徴となります。

周皮のガス交換

コルク組織は水や空気を通しにくい性質を持ちますが、植物体はガス交換を行う必要があります。周皮には、皮目と呼ばれる構造が存在し、これがガス交換を担っています。皮目は、コルク形成層から柔細胞がコルク組織を突き破って形成される開口部であり、ここを通じて植物体と外界との間でガス交換が行われます。

人間との関わり

コルク組織は、その特徴的な性質から、様々な用途に利用されてきました。代表的なものとしては、ワインのコルク栓があります。コルクガシの樹皮から採取されるコルクは、軽量で弾力性があり、気密性に優れているため、ワインの風味を損なわずに長期保存するのに適しています。

また、コルクは断熱材や緩衝材としても利用されており、建築や工業分野でも幅広く活用されています。

まとめ

周皮は、樹木の幹や根を覆い、植物体を様々な外的要因から保護する重要な組織です。コルク形成層、コルク皮層、コルク組織という3つの主要な組織から構成され、特にコルク組織が保護機能の中心を担っています。周皮の構造と機能を理解することで、植物の生存戦略の一端を垣間見ることができます。

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