機動戦士ガンダムNT

機動戦士ガンダムNT

『機動戦士ガンダムNT』、英語では『MOBILE SUIT GUNDAM NARRATIVE』として知られ、2018年11月30日に公開された日本のアニメーション映画です。この作品はガンダムシリーズの一環として、宇宙世紀という独特の舞台設定の中で物語が展開されます。本作の根底には、福井晴敏が前作『機動戦士ガンダムUC』の追補として執筆した中編小説『不死鳥狩り』があり、これを基にした新たなストーリーが組み立てられています。

概要

新しい宇宙世紀を描く完全新作劇場映画としては、27年ぶりとなる本作は、アニメ版『機動戦士ガンダムUC』以降に展開された「UC NexT 0100」シリーズの第一弾として製作されました。この作品の脚本は福井晴敏が手掛け、監督には初めての挑戦となる吉沢俊一が起用されています。

物語では、宇宙世紀0097年を舞台に、少年ヨナとその仲間たちの運命を追うことになります。特に、福井がかつて執筆した小説「不死鳥狩り」をモチーフにし、過去の宇宙世紀の出来事や「戦後の戦争」というテーマを盛り込んでいる点が特徴です。特に、戦争の傷跡や、登場人物たちの心情に焦点を当て、物語全体を通して深いメッセージを伝えています。

「NT」というタイトルには、ガンダムシリーズにおける「ニュータイプ」という概念と、「ナラティブ」という物語の双方の意味が込められています。このことから、ガンダムシリーズの原作者である富野由悠季が語らなかったニュータイプについての解釈も反映されています。さらに、脚本を担当した福井は、この要素を現代の視点から再解釈し、これまでにない新しい物語として描くことを目指しました。

作品解説

吉沢監督は、本作を「鳥で始まり、鳥で終わる映画」として意識し、作中にはさまざまな鳥のモチーフが散りばめられています。特に、ユニコーンガンダム3号機フェネクスは不死鳥に例えられ、重要な役割を果たします。デザインにおいても、フェネクスには新たなスタビライザーが取り入れられ、形状の変化が表現されています。

物語の中心には、ヨナとミシェル、リタという三人の少年少女が立っています。彼らは、コロニー落としに関する奇蹟のような出来事を経て、地球連邦軍による特殊な実験に関わることになります。リタの失踪や、彼女の記憶を追うヨナの過去が徐々に明らかになるにつれ、彼らの心の葛藤や成長が描写されます。

作品中では、ナラティブガンダムがその姿を変えつつ、物語が進行していくことで、主人公の心情と視覚的表現がリンクしていくのも見どころです。このように、登場人物たちのトラウマや過去を描くことで、物語の奥行きが深まり、視聴者に深い感慨を与えます。

プロモーションと興行成績

本作の制作に関する情報は、2018年4月20日の新作発表会で公開され、続いて主要キャストや設定についても発表されました。前売券は制作発表直後から発売され、数種類の特典が用意されていました。その後、公開初日には特別な舞台挨拶も行われ、多くのファンが集まりました。

興行成績としては、公開からわずか24日間で5億円を超える収益を上げ、最終的には6.7億円に達しました。また、中国での上映も話題となり、現地では高い評価を受けました。

結論

本作『機動戦士ガンダムNT』は、従来のガンダムシリーズに新たな視点と解釈をもたらす重要な作品であり、古いファンだけでなく、新たにガンダムに触れる日本のアニメファンにも楽しめる内容です。特に、メカニックデザインやキャラクターたちの心理描写、物語のテーマに注目しながら観ることで、より深い理解が得られることでしょう。

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