歌うクジラ

歌うクジラ

『歌うクジラ』は、村上龍が描く近未来ディストピア小説です。2006年から2010年にかけて『群像』で連載され、2010年10月に講談社から書籍化されました。単行本と同時にiPad版も刊行され、その革新的な試みも話題となりました。同作は、第52回毎日芸術賞を受賞しています。

あらすじ

物語の舞台は2022年。人類は不老不死を可能にする「SW遺伝子」を発見します。しかし、その恩恵は平等には与えられず、ノーベル賞受賞者などのエリート層に優先的に投与される一方、犯罪者には寿命を短縮する目的で使用されます。それから100年後、SW遺伝子によって極端な格差社会と化した日本で、15歳の少年タナカアキラは、父の遺言に従い、ある人物に会うための旅に出ます。

登場人物

タナカアキラ

本作の主人公。犯罪者とその子孫が住む隔離地域「新出島」で育ちます。父の死後、遺言に従い、ヨシマツという人物に会うため旅に出ます。礼儀正しい少年です。

サブロウ

毒性の液体を分泌する人々「クチュチュ」のメンバー。父親を探しており、アキラと共に旅をすることになります。

アン

反乱移民軍のリーダーの娘。サブロウたちが奪ったトラックに隠れていました。その後、アキラやサブロウと行動を共にします。

ヨシマツ

日本を支配する最高指導者の一人。日本で39番目にSW遺伝子を投与されました。アキラの旅の途中で「テレパシー」を使って語りかけます。

ネギダール

猿と人間の混血の女性。スカイカーの運転手として、本土の郵便配達の仕事をしています。

アンジョウ

元「新出島」の管理官。島の子供たちを本土の老人施設へ売るという非道な行為を繰り返していました。

刊行情報

単行本
『歌うクジラ』（講談社 2010年10月 ISBN 978-4-06-216595-2, 978-4-06-216596-9）

文庫版
『歌うクジラ』（講談社 2013年10月 ISBN 978-4-06-277675-2, 978-4-06-277676-9）

外部リンク

* 村上龍電子本製作所

『歌うクジラ』は、遺伝子技術の発展がもたらす社会の歪み、格差、そして人間の尊厳といったテーマを深く掘り下げた作品です。村上龍ならではの独特な世界観と、スリリングな展開が読者を魅了します。

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