残留塩素

残留塩素について

残留塩素（ざんりゅうえんそ）は、水道水に必要不可欠な遊離残留塩素（ゆうりざんりゅうえんそ）と結合残留塩素（けつごうざんりゅうえんそ）を合わせたもので、主に水に含まれる有機物の殺菌や酸化に役立つ塩素化合物のことを指します。これらは特に飲料水の安全性を確保する上で重要な役割を果たしています。

原理と作用

水道水を消毒する際には、塩素化合物を使用することが一般的です。例えば、塩素ガスを水に溶かすことで、次亜塩素酸と塩酸が生成されます。次亜塩素酸は、さらに次亜塩素酸イオンと水素イオンに分解し、これが遊離残留塩素として機能します。遊離残留塩素は、強い酸化力で微生物やウイルスの細胞膜を破壊し、内部の蛋白質や核酸を変性させることにより、殺菌作用を発揮します。

しかし、水に含まれるアンモニアやその化合物は、通常の浄水処理で完全に取り除くことができないため、遊離残留塩素はこれらと反応し、クロラミンを生成します。モノクロラミンやジクロラミン、トリクロラミンといった結合残留塩素は、遊離残留塩素よりも効果は落ちますが、依然として一定の殺菌作用を持っています。

ただし、結合残留塩素は遊離残留塩素と過剰に反応すると消失するため、塩素の注入量を過剰に増やすと、両者とも消失し、殺菌効果を失います。この現象を不連続点と呼び、これを越えると再び遊離残留塩素が増加し、殺菌力が回復します。

日本の水道水の残留塩素基準

日本では、水道法に基づき水道水の消毒が義務付けられています。給水栓（蛇口）で遊離残留塩素が0.1mg/L以上、結合残留塩素は0.4mg/L以上であることが規定されています。特に、病原菌の汚染が懸念される場合はそれぞれ0.2mg/Lおよび1.5mg/L以上が求められます。これは飲料水の安全を守るために設定された基準です。

さらに、水質管理目標は1mg/L以下とされており、WHOのガイドラインでは5mg/Lが基準とされていますが、日本の基準は比較的厳しいと言えます。浄水器メーカーが水道水の危険性を強調することがありますが、科学的根拠に乏しいため注意が必要です。

残留塩素の消毒方法

不連続点塩素処理と結合塩素処理の選択については、使用する水の性質や経済性によって異なりますが、出来るだけ無駄な塩素を使わない方が望ましいとされています。そのため、上水道では不純物を含まない水源の確保や保全が重要です。また、特殊な病原体に対しては、残留塩素ではなくろ過処理を行う必要があります。

残留塩素の測定

残留塩素の測定方法には、遊離残留塩素と結合残留塩素について検査できる手法や、遊離残留塩素のみを検査する方法があります。前者にはジエチルパラフェニレンジアミン法や吸光光度法が、後者には連続自動測定機器による方法があります。これにより水道水の安全性が継続的に監視されています。

まとめ

残留塩素は水道水の消毒に不可欠な要素であり、飲料水の安全性を維持するための重要な役割を果たしています。水道水の管理と処理には、環境保護と公共衛生が密接に関わっているため、地域社会全体での取り組みが必要です。

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