江口徹

江口 徹 (えぐち とおる) の人物紹介

江口徹は、1948年2月19日に茨城県土浦市で生まれた日本の素粒子物理学者です。彼は重力理論、ゲージ理論、そして超弦理論の研究で著名であり、東京大学の名誉教授として、さらには京都大学基礎物理学研究所の元所長としてもその名を馳せました。江口氏の研究は素粒子物理学において重要な貢献をし、多くの後進に影響を与えました。

学歴とキャリア

1970年に東京大学理学部を卒業し、1975年には東京大学大学院理学系研究科において博士課程を修了しました。彼の博士論文は「Duality constraints and the baryon spectrum（双対性の制約と重粒子スペクトル）」というタイトルで、この研究により博士号を取得しました。修了後は、シカゴ大学やスタンフォード大学線形加速器センターで博士研究員としての経験を積み、その後1978年から1981年にかけて、シカゴ大学にて助教授職に就きました。

1981年、東京大学理学部に助教授として帰国し、1991年には教授に昇進しました。その後、2007年には京都大学基礎物理学研究所の所長に就任し、研究の最前線を常に牽引してきました。彼は2008年に東京大学から名誉教授の称号を授与されました。

受賞歴

江口徹の業績は、数理物理学の手法を駆使して素粒子論を探求したことにより、高く評価されました。2009年には「数理物理学的な手法による素粒子論の研究」に対して恩賜賞および日本学士院賞を受賞しました。これにより、彼の研究が物理学界においてどれだけ重要であるかが改めて認識されることとなりました。

教育と著書

彼は、その研究活動に加え、多くの学生への指導も行ってきました。特に、立教大学理学研究科に特任教授として在籍した2012年からは、若手研究者の育成にも力を注ぎました。江口氏は著書も多数あり、彼の研究の成果や思考過程を広く一般に伝えています。主な著書には以下のものがあります。

• - 『岩波講座 物理の世界 素粒子と時空〈5〉素粒子の超弦理論』（岩波書店、2005年） ISBN 978-4000111454
• - 『数理物理 私の研究（シュプリンガー量子数理シリーズ）』（丸善出版、2012年） ISBN 978-4621065020
• - 『共形場理論』（岩波書店、2015年） ISBN 978-4000052498

最後の時

江口徹は、2019年1月30日に心不全により亡くなりました。彼の死は日本の物理学界にとって非常に大きな損失となりましたが、彼の研究や教育によって育まれた多くの人々が、今なお彼の思想や方法論を受け継いでいます。江口氏の功績は今後も多くの場面で語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索