江戸清

株式会社江戸清

株式会社江戸清（えどせい）は、横浜市金沢区に本社を構える食肉加工会社です。特に横浜中華街でのブタまんの人気で広く知られています。社名に「江戸」とあるものの、その由来は創業者高橋清七が、彼の家族の前身である豚肉商から名を受け継いだことに由来しています。この企業は明治以来、横浜を基盤に成長してきました。

歴史

高橋清七は1875年、千葉県の裕福な農家に生まれました。彼の家族は名主として広大な田畑を持っていましたが、大きな社会的変化がある中で、清七は商人としての道を選びました。明治時代、横浜の南京街にはいくつかの肉屋が存在し、清七はその活気に刺激を受けました。彼は独自に豚の養殖を始め、1892年に17歳で肉店「江戸屋」を引き継ぐこととなります。

清七は、青年時代に商売の可能性を感じ取り、異人商人との取引を通じて成功を収めました。彼は日清戦争の勃発により、国際関係が複雑化しても、誠実な商取引を貫き続けました。1897年に結婚し、その後、子供も多く授かり、家族を支えるための努力を続けました。

1914年、清七はハム製造を開始し、「千葉ハム」として販売し始めました。食品加工業としての実績を確立するものの、1923年の関東大震災によって大きな打撃を受け、社屋が全壊するという厳しい試練も経験しました。それでも多くの顧客の支援を受け、復業に成功しました。

清七は昭和に入ると、業績を回復させ、井土ケ谷に新しい食肉解体場を設けるなど、本格的な事業運営が進みました。その後も様々な社会情勢に影響を受けつつ、1950年代には朝鮮戦争特需を受けて店舗を拡大し、業務を成長させました。

1973年のオイルショック以降、スーパーやファストフードの進出による市場の変化に直面した江戸清は、経営戦略を見直し、新たな商品開発へと舵を切ります。1989年には、ブタまんの販売を開始し、この商品が瞬く間に人気を博し、食べ歩きブームの火付け役となります。ブタまんはその大きさと風味で目立ち、他店との差別化にも成功しました。

1990年代の苦境や市場競争も経て、2003年には本社と工場を移転し、近代的な業務体制にシフトしました。しかし、2007年の報道による風評被害や2019年の新型コロナウイルスの影響など、度々危機的状況に見舞われました。それでも、状況が改善に向かう過程もあり、特に2023年の春には中華街が賑わいを取り戻しました。

製品と店舗

江戸清は、ブタまんだけでなく、業務用食肉加工業にも力を入れています。中華街の飲食店向けに様々な商品を供給し、BtoB分野でも多くの実績を残しています。店舗は直営店と工場があり、直売イベントも行うなど、地域との関係を重視した運営が続いています。

これからも江戸清は、食の伝統を大切にしながら、新しい需要に応える商品開発を進めていくことでしょう。

もう一度検索