渡辺正

渡辺 正の生涯と功績

概要

渡辺正（わたなべ まさし）は、1936年1月11日生まれで、1995年12月7日に他界した元サッカー選手、コーチ、および監督です。彼は広島県の広島市大手町（現在の中区）出身で、主にフォワード（FW）として知られています。渡辺は日本代表選手として、メキシコオリンピックに出場し、この大会で初めて選手交代が認められたことから、いわゆる「スーパーサブ」として活躍し、日本の銅メダル獲得に貢献しました。

幼少期と成長

渡辺の家族は日蓮宗本経寺に関わっていましたが、1945年に起こった原爆の影響で、父親を失い、彼自身は集団疎開により難を逃れました。戦後は原爆の影響で荒れ果てた広島の街で墓石運びを手伝った経験が、後の足腰の強さにつながったとされています。彼は広島市立千田小学校、国泰寺中学校を経て、サッカー部のない崇徳高校に進学。その後、編入試験を通じて基町高校に転校しました。

サッカーキャリアの始まり

1954年、渡辺は八幡製鉄に入部しました。八幡製鉄は当時、広島出身者が多く集まる「野武士軍団」として知られていました。渡辺はその中でも独特な個性を持っており、酒豪としても知られ、毎晩のようにネオン街で夜を楽しむこともありました。彼がこのチームに加入した年から成績は向上し、日本の大会で高い評価を得ましたが、彼は負けず嫌いな性格から一度退社します。

1958年、立教大学に進学し、2年次には関東大学リーグで優勝を果たしました。1960年にはローマオリンピック予選に選ばれ、サッカー界の仲間からも注目される存在となりました。

黄金期の到来

1962年に八幡製鉄に復帰し、1960年代初頭の黄金期には「闘将」と呼ばれるほどの熱血漢として知られました。1963年と1964年には全日本実業団選手権を連覇し、1964年には天皇杯でも優勝を果たしました。1968年には年間優秀11人賞を受賞するなど、彼のキャリアの中で多くの栄光に輝きました。

代表選手としては、1964年の東京オリンピックと1968年のメキシコシティオリンピックに連続出場しました。特にメキシコオリンピックでは、新たに認められた選手交代のルールを活かし、日本は渡辺をスーパーサブとして起用し成功を収めました。彼はこの大会で重要なゴールを決めるなど、銅メダル獲得に貢献しました。

監督としての道

現役引退後は、1972年から1975年にかけて八幡製鉄の監督を務め、その後は日本代表のコーチや監督としても活動しました。特に1980年代には立教大学で監督を務め、その後も日本サッカー協会に携わりました。彼の指導した選手たちの中には、多くの才能ある選手が含まれており、若手選手の育成にも力を注いでいました。

最後の年月

1995年12月7日、千葉市で心不全により亡くなった渡辺正。彼の通算国際Aマッチ出場は39試合で、12ゴールを記録しました。彼のサッカーに対する情熱と功績は広く認知され、2006年には日本サッカー殿堂にも選ばれました。渡辺はサッカー界に大きな影響を与え続けた人物として、今なお尊敬されています。

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