温室効果ガス

温室効果ガスの概要

温室効果ガス（Greenhouse Gas, GHG）は、大気中に存在し、地表から放射される赤外線の一部を吸収することで温暖化を引き起こす気体です。このガスには水蒸気、二酸化炭素（CO2）、メタン（CH4）、一酸化二窒素（N2O）、およびフロン類が含まれます。特にここ数年、これらのガスの濃度が上昇しており、これが地球温暖化の主要因として注目されています。

温室効果ガスの種類と影響

近年の国際的な取り組み、特に京都議定書においては、排出量削減の対象となっている温室効果ガスは以下の6種です：

• - 二酸化炭素 (CO2)
• - メタン (CH4)
• - 亜酸化窒素（N2O）
• - ハイドロフルオロカーボン（HFCs）
• - パーフルオロカーボン（PFCs）
• - 六フッ化硫黄 (SF6)

IPCCの報告によると、二酸化炭素の排出が人為的温室効果ガスの中で最も影響力が強いとされています。二酸化炭素は主に石炭や石油の燃焼、セメント製造などのプロセスから放出されます。この問題に対して異議が唱えられることもありますが、多くの科学者がこの異議に対して反証しています。

2015年には、環境省が温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」のデータを利用し、2016年には温暖化の危険水準である400ppmを超える可能性があると報告しました。

水蒸気の役割

水蒸気も温室効果を持ち、その寄与度は非常に高いです。水蒸気は蒸発と降雨を通じて熱を宇宙に運ぶ役割も果たします。ただし、水蒸気の人為的な発生自体では顕著な気候変動を引き起こさないものの、他の温室効果ガスによって引き起こされた温暖化効果を増幅する役割を持つと考えられています。

地球温暖化係数

地球温暖化係数（Global Warming Potential, GWP）は、様々な気体の温暖化効果を二酸化炭素を基準にして比較する指標です。特に、2016年に改正されたモントリオール議定書では「百年地球温暖化係数」として再定義されました。

最近の試算では、水素のGWPが11±5とされており、これは水素自体は温室効果ガスではありませんが、他のガスと反応することで温暖化係数に影響を与えることを示しています。

世界の排出状況

温室効果ガスの排出量は国ごとに異なり、2010年時点で二酸化炭素換算で約434億トンが排出されました。2019年にはこれが481億トンに増加しており、特に中国が最も多く26.4%を占めています。続いてアメリカ、インド、ロシア、日本などが続いています。

日本では、2007年度に13億7400万トンの温室効果ガスが排出され、以降の年はリーマン・ショックや福島第一原発事故の影響を受け変動しています。

総括

温室効果ガスの排出元は、エネルギー転換部門が約40%を占め、産業、運輸、非エネルギー部門がそれに続きます。また、日本におけるメタンの主な発生源は稲作や家畜の排泄物などです。

温室効果ガスの削減は、気候変動を抑えるための重要な課題であり、国際的な協力が不可欠です。今後も継続的な観測と対策が求められています。

もう一度検索