潜水泳法

潜水泳法とは

潜水泳法（せんすいえいほう）とは、水中で潜ったままの状態で進む泳ぎのスタイルです。この技術は主に競泳において活用され、水面近くで生じる抵抗を軽減することを目的としています。特に、速いスピードで泳ぐことが可能であり、選手たちには優れた体力が求められます。

水中での泳ぎ方

潜水泳法では、通常腕を頭の上に伸ばし、腿や足を動かすスタイルが取られます。初期の潜水泳法ではカエル足が主流でしたが、禁止後はバタフライキック（ドルフィンキック）が使われるようになりました。この方法は無呼吸状態を維持しながら、血中の酸素の消費が大きくなることから、選手にとってはかなりの体力が必要とされます。

競技における歴史

1960年代以前は、潜水泳法において選手が水中を長距離進むことが可能であったため、特に1956年のメルボルンオリンピック以前には潜水が禁止されていませんでした。しかしながら、潜水を利用して競技距離を稼ぐ選手が増え、事故の危険があることから、潜水距離の制限が設けられることになりました。これは国際水泳連盟によるルールの改正として施行されたものです。

平泳ぎとの関連

1954年にはバタフライ泳法が平泳ぎから独立した後、選手たちは潜水の距離を増やすことで記録更新を狙いました。特に日本の選手、木村基が1954年の日本選手権で新記録を樹立し、その後も国際水上選手権で大きな記録を達成しました。しかし、1956年のオリンピック直後には、平泳ぎにおける潜水が規制されたため、選手たちは新たな技術に適応する必要性が生じました。

バサロ泳法と背泳ぎ

背泳ぎにおける潜水を特に「バサロ泳法（バサロえいほう）」と呼びます。この技術は、1970年代後半にアメリカのジェシー・バサロによって考案されました。彼は400m個人メドレーなどで世界記録を樹立し、背泳ぎへのスムーズな切り替えを実現しようとしました。80年代には、多くの選手がこのスタイルを取り入れるようになり、背泳ぎ競技における潜水距離が引き上げられましたが、その一方で潜水の危険性についても懸念が生じました。

1988年のソウルオリンピック後、国際水泳連盟は背泳ぎの潜水距離を10mに制限し、その後1991年に15mに緩和されました。この改正により、背泳ぎ選手は潜水距離を制限内で最大限に活用することが求められるようになりました。

新たなルールの影響

1995年頃、青山綾里選手が100mバタフライ競技でスタートから30m以上潜水するスキルを持ち、世界短水路新記録を樹立しましたが、直後にバタフライでも潜水距離が15mに制限されるルールが追加されました。この制限により、250mの競技では距離を活かすための潜水の意義が薄れることとなりました。しかし、この制限後でも特に2007年の世界選手権でマイケル・フェルプス選手が12m潜水を実現し、再び潜水技術が注目されています。

現在の状況

現代の競泳においては、特に背泳ぎとバタフライにおいて、潜水距離15mの制限を最大限に活用することが選手にとって重要な要素となっています。潜水技術が進化する中で、選手たちはこの技術を駆使し、速さと効率を兼ね備えた競技を展開しているのです。

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