火事場泥棒

火事場泥棒とは

火事場泥棒とは、火災や地震などの災害が発生し、人々が避難などで現場を離れたり、混乱に乗じたりして、窃盗を働く行為、またはそれを行う者を指します。また、この言葉は転じて、社会的な混乱に乗じて利益を得る行為や人を指す言葉としても用いられます。

歴史的な事例

火事場泥棒の行為は、古くから世界中で確認されています。

世界: 建物に放火して窃盗を働く行為は、大小様々な規模で歴史的に繰り返されてきました。また、自爆テロなどの事件では、被害者を助けるふりをして貴重品を盗むといった事例も実際に発生しています。
日本: 日本では、奈良時代に桓武天皇が放火を戒める勅令を出した記録が残っており、平安時代の書物にも火事場泥棒に関する記述が見られます。江戸時代には、江戸の街で大火が頻発した際に、混乱に乗じた火事場泥棒が横行し、延焼を免れた家でも泥棒によって財産を失うケースが見られました。このため、江戸の人々は火災の際に全財産を大八車に乗せて避難するようになり、それが延焼をさらに広げる要因になったとも言われています。

現代の事例

現代においても、災害時における火事場泥棒は後を絶ちません。

雲仙普賢岳噴火災害、三宅島噴火災害、福島第一原子力発電所事故など、避難指示が出された地域や住民が自主的に避難した家屋で空き巣行為が多発しました。無人となった家屋は、住人に遭遇する可能性が低く、特に玄関や窓が破損していると侵入が容易になるため、狙われやすくなります。
新潟県中越地震の際には、旧山古志村の郵便局の現金自動預払機（ATM）が破壊される事件が発生しました（現金は無事）。東日本大震災では、コンビニエンスストアに設置されているATMが破壊され、紙幣が盗まれる事件も起きています。

対策

災害時には、警察官が被災者の救助や捜索活動に加えて、火事場泥棒の警戒や摘発にもあたります。2024年の能登半島地震でも、地元警察官だけでなく、他地域からの応援部隊も同様の活動を行っています。

その他の関連情報

火付盗賊改方: 江戸時代に火災や盗賊を取り締まる役職。
ドン・キホーテ放火事件: 放火犯が混乱に乗じて買い物かごを持ち帰ったことが、犯人逮捕の決め手となった事件。

まとめ

火事場泥棒は、災害時における人々の不安につけ込む悪質な犯罪行為です。災害時には、個人で貴重品を管理するだけでなく、地域社会全体で防犯意識を高めることが重要です。また、災害時には、公的機関の情報を確認し、デマや不確かな情報に惑わされないように注意しましょう。

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