災害救助犬

災害救助犬の役割と機能

災害救助犬（さいがいきゅうじょけん）は、特に地震や土砂崩れなどの災害時において、埋もれた人々を迅速に発見し、その救助を行うために特別に訓練された犬たちです。彼らの主な能力は嗅覚にあり、被救助者がいる場所を匂いによって特定します。

歴史と背景

ヨーロッパにおいて、災害救助犬の育成は非常に古くから行われており、特にスイスでは山岳救助に犬が利用されていました。そのため、スイスは災害救助犬の概念が始まった国とも考えられています。有名な例として、セントバーナード犬のバリー号があり、彼は40名以上の遭難者を救出したことで広く知られています。

使われる犬種

災害救助犬には、ジャーマン・シェパードやラブラドール・レトリバーがよく使われますが、特に特定の犬種に限られるわけではありません。一般的には中型犬以上が望ましいとされていますが、小型犬もその特性を生かして、通常入れないような隙間に入り込むことができるため、捜索に役立つ場合があります。

嗅覚の違い

災害救助犬は、警察犬とは異なる方法で嗅覚を使用します。警察犬が鼻を下向きにして特定の匂いを探すのに対し、災害救助犬は空中の浮遊する臭いを嗅ぎ取るため、鼻を上向きに使います。また、警察犬が特定の人間の匂いを必要とするのに対し、災害救助犬は生存者でも非生存者でも、行方不明者の捜索を行います。生存者を探索する際は、人間の呼気によって生じる共通の臭気を追跡し、特定の状況にあたる人間（倒れている、うずくまっている等）を発見します。

訓練と活動

災害救助犬は、災害発生時に被害者や行方不明者を見つけるために特訓を受けます。彼らが捜索を行うことができるのは約20〜30分で、そのために2頭から3頭の犬が交代で捜索し、休憩を取りながら作業を続けることが一般的です。日本では、犬の健康モニタリングや休憩のタイミングを判断するための「サイバー救助犬」技術が開発されています。

日本における組織と活動

日本において、災害救助犬は主にNPO法人やボランティア団体によって活動しています。消防組織ではなく、NPO法人が中心となっており、様々な団体が存在しています。体育会系の警察なども、時折、災害救助犬を活用していますが、民間が中心となる現状が続いています。

また、技術標準の統一化を求める声が国内で高まっており、国際救助犬連盟（IRO）の基準に基づく活動が進められています。過去の震災では、国外からも多くの救助犬が派遣されましたが、その受け入れ体制には課題があったため、迅速な対応が求められています。

まとめ

災害救助犬は、災害現場での人命救助に貢献する重要な存在です。これからも彼らの役割は増していくことでしょう。犬たちの訓練とサポートを行う団体の努力も、今後の改善に向けた鍵となります。

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