無農薬栽培

無農薬栽培とは

無農薬栽培とは、化学合成農薬を一切使用せずに、米や野菜などの作物を栽培する方法です。農薬を使用しないことで、環境への負荷を低減し、安全な作物を生産することを目指します。

無農薬栽培の歴史

日本で本格的に農薬が使用されるようになったのは1950年代後半からです。それ以前の農業は、有機肥料と人的労働力に頼る栽培方法が主流でした。しかし、高度経済成長期以降、農薬や化学肥料が普及し、収穫量の安定化や省力化が進みました。その一方で、農薬の人体や環境への影響が問題視されるようになり、1980年代後半から無農薬栽培への関心が高まりました。

化学農薬発展略史

1700年代：除虫菊の粉末が殺虫剤として利用される。
1851年：石灰硫黄合剤が農薬として効果を発揮することを発見。
1882年：ボルドー液が開発され、殺菌剤として利用される。
1938年：DDTが殺虫剤として利用される。後に環境への影響が問題視され、使用が禁止される。
1941年：BHCが殺虫剤として利用される。DDTと同様に、後に使用が禁止される。

無農薬栽培の拡大

1960年代後半から、消費者の間で農薬への不安が高まり、無農薬栽培が注目されるようになりました。しかし、「無農薬」表示の曖昧さや、悪質な販売手法も問題となりました。2001年に農林水産省が特別栽培農産物の表示基準を定め、「無農薬」という言葉を使わずに、農薬の使用状況を明確に表示することになりました。

無農薬栽培のポイント

無農薬栽培では、病害虫の発生を予防することが重要です。以下の点に注意して栽培を行いましょう。

環境による防除

日当たりや風通しを良くする。
圃場の排水性を高める。
雑草や資材を放置しない。
防虫ネットで害虫の侵入を防ぐ。
病害虫に侵された作物は速やかに処分する。

作物による防除

病害虫に強い品種を選ぶ。
健全な種苗を使用する。
生育が均一になるように種子を選別する。
種芋の貯蔵に注意する。

栽培法による防除

適期・適地・適作を守る。
土の表面を撹拌して雑草の発芽を抑える。
藁や籾殻で土の表面を覆う。
雑草が種をつける前に除草する。
有機肥料の過剰使用を避ける。
作物が病害虫にさらされる期間を短縮する。
木酢液などを利用する（ただし、効果や安全性には注意が必要）。

その他

有機物の過剰投入は避ける。

無農薬栽培のデメリット

カビ毒による汚染のリスクがある。
労働力が必要で、生産コストが上昇する。
病害虫による収量減少のリスクがある。
周辺の農地への病害虫の供給源となる可能性がある。
作物によっては、自己防衛のために毒性物質を生成することがある。

無農薬栽培の種類

合鴨農法
BMD農法
EM菌農法
自然農法
武藤農法
* ヒューゲル床[[栽培]]

無農薬栽培は、手間やリスクも伴いますが、安全な作物を生産し、環境への負荷を低減できる農法です。関心のある方は、ぜひ挑戦してみてください。

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