片山まさゆき

片山まさゆき：麻雀漫画界のレジェンド

片山まさゆき氏は、1959年千葉県生まれの漫画家です。明治大学文学部を中退後、漫画家としての道を歩み始めました。大学時代には漫画研究会に所属していましたが、活動は活発ではなく、麻雀に明け暮れていたそうです。

彼のキャリアは、1981年に『週刊ヤングマガジン』掲載の『平和（ピンフ）警察』で幕を開けました。しかし、真のブレイクは麻雀漫画『ぎゅわんぶらあ自己中心派』によって訪れます。同誌で連載された本作は、強運の持ち主である主人公・持杉ドラ夫を始め、個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語で大きな話題を呼び、片山氏の代表作となりました。

一方、『ぎゅわんぶらあ自己中心派』連載開始の1年前から、『近代麻雀オリジナル』誌上では『スーパーヅガン』の連載もスタートしていました。こちらは、運に見放された主人公をコミカルに描く作品で、当初は人気に伸び悩みましたが、半年後には同誌の看板作品に成長。麻雀ブームの火付け役として、『ぎゅわんぶらあ自己中心派』と並び、若者世代の麻雀人口拡大に貢献しました。さらに、1992年には『スーパーヅガン』がフジテレビ系列でテレビアニメ化され、これは片山氏唯一のアニメ作品となりました。アニメ版では、他の代表作の主人公たちがカメオ出演するなど、ファンサービスも盛り込まれていました。

漫画家としての活躍と並行して、片山氏は実業家としての顔も持ち合わせていました。代表作である『ぎゅわんぶらあ自己中心派』の舞台にもなった雀荘の名を冠した「ミスチョイス」を明大前に開店しました。作中にも登場するこの雀荘は、残念ながら経営難により閉店を余儀なくされました。しかし、その後も吉祥寺、高円寺に「ミスチョイスR」「ミスチョイスQ」と雀荘を開店し、麻雀界への貢献を継続しました。

『ぎゅわんぶらあ自己中心派』と『スーパーヅガン』の連載終了後、片山氏は作風をギャグ漫画からストーリー漫画へと転換。代表作として挙げられる『ノーマーク爆牌党』は、彼の豊富な麻雀知識と理論に基づいた、本格的な闘牌シーンが魅力の作品です。当初はギャグ要素が強かったものの、徐々にシリアスな展開へとシフトしていきました。

片山氏自身も高い麻雀の腕前で知られており、第1回麻雀最強戦ではプロ雀士たちを相手に優勝を果たすなど、麻雀界でもその名を轟かせています。彼の作品には、プロ雀士の協力を得た闘牌シーンが多く見られ、リアリティと迫力に溢れています。

彼の作品の特徴として、麻雀漫画としては珍しいほど「裏社会」「暴力」といった要素を排除している点が挙げられます。また、『スーパーヅガン』や『ミリオンシャンテンさだめだ!!』など、麻雀の腕前や知識は高いものの、運不運に翻弄されるキャラクターを主人公に据える作品が多いのも、片山氏独特の作風と言えるでしょう。

2004年から2010年まで連載された『打姫オバカミーコ』は、麻雀初心者を主人公に、一流プロが指導するという構成で、読者の麻雀学習にも役立つ作品となっています。これは、巻数が多いだけでなく、片山氏自身も代表作の一つとして位置づけている作品です。

一方で、片山氏は自身の画力に課題を感じており、キャラクターデザインに苦戦した経験も持っています。スランプに陥った際には、偶然入手した自作のパロディ同人誌を参考にキャラクターデザインを修正したというエピソードも残っています。また、漫画家のいしかわじゅん氏のもとでデザインアシスタントとして修行していた際には、絵の描き方の基礎を学ぶ必要があると指摘されたという逸話もあります。

麻雀漫画以外にも、ファミコンを題材にした『大トロ倶楽部』や三国志をモチーフにした『SWEET三国志』など、ギャグタッチの作品も発表しています。さらに、河合塾講師である青木裕司氏との共著で、『サクサク現代史！』シリーズを出版するなど、幅広い分野で活躍を見せています。

数多くの漫画作品、雀荘経営、麻雀プロとしての活躍、そして自身の経験を活かした書籍出版など、多岐に渡る活動で麻雀界に大きな影響を与えた片山まさゆき氏。彼の作品は、麻雀の面白さだけでなく、人生の機微までも感じさせる魅力に溢れています。

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