SWEET三国志

SWEET三国志

『SWEET三国志』は、1992年から1996年にかけて『ヤングマガジン海賊版』などで連載された、片山まさゆきによるギャグ漫画です。三国志演義をベースに、大胆なアレンジとパロディを盛り込んだ内容で、多くの読者を魅了しました。全5巻でヤンマガKCスペシャルとして発売され、後に文庫版や廉価版も刊行されています。

概要

本作は、三国志演義を題材にしたコメディ作品です。黄巾の乱から孔明の死までを描いており、物語の初期は原作に比較的忠実ですが、赤壁の戦い以降は展開が早まります。ストーリーの要所は原作に沿っていますが、細部はギャグで彩られ、キャラクターも独自の解釈が加えられています。

例えば、劉備はお人好しで頼りない君主として描かれ、曹操はナルシストな人材コレクターとして登場します。各エピソードのタイトルは英語のカタカナ表記で表現され、現代の用語や時事ネタが頻繁に飛び出すのも特徴です。復刻版では、「本作品はフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切、関係ありません」という注意書きが加えられています。

登場人物

各キャラクターは、原作や演義とは異なる独自の解釈が加えられています。

蜀

玄徳: 主人公。幼馴染の蓉ちゃんに「天下のとれる男が好み」と言われ、天下取りを決意します。小心者で優柔不断な性格で、軍事的センスは皆無。
蓉ちゃん: 玄徳の正室。「天下を望む男」が好みで、玄徳を追いかけます。
関羽: リーゼントヘアの不良風。玄徳をバカにしていたが、漢帝室の血を引くと知り義兄弟の契りを結びます。住友金属製の形状記憶合金でできた青龍刀を武器とする豪傑。
張飛: パンツ一丁のマッチョマン。ボディビルコンテストに出場しています。
趙雲: 道端で寝ていたところをスカウトされた人物。知勇兼備の名将として描かれています。
孔明: 初登場時は二枚目ですが、後に顔に化粧をするようになり、性格も変わってしまいます。インチキ臭い雰囲気も漂わせています。
龐統: ツンツンした態度で笑顔を見せず、作中であまり印象を残しません。
馬謖: 孔明の一番弟子。司馬懿の左遷に成功しますが、街亭の戦いで顔が変わってしまいます。
馬超: 潼関の戦いで曹操を追い詰めますが、写真判定で槍が刺さっておらず失敗。夷陵の戦いにも参加しています。

魏

曹操: 右目の下に星印が書かれています。黄巾の乱鎮圧時に張角の首を討ち取りデビュー。徐州攻めの際には100万の軍勢を率いるようになります。赤壁で敗北後、ミサワホームの「道楽」を建てます。
荀彧: 軍師筆頭格。いつの間にか司馬懿に取って替わられています。
荀攸: 軍師。童顔で小柄です。
夏侯惇: 曹操挙兵時からの配下。関羽の矢を受けて隻眼になります。
典韋: 曹操を逃がす際に命を落とします。
徐晃: 「徐行」の交通標識を武器とする猛者。
李典: 臆病者ですが、敵の作戦を見抜く鋭さも持ち合わせています。
張遼: 関羽から貰った「戦場で50%手加減券」を使って見逃してもらいます。
賈詡: 西武ライオンズの郭泰源投手に似た風貌を持つ軍師。
司馬懿: 首に巻いたネックレスの評判は悪いですが、孔明も認める知力の持ち主。

呉

呉の人物は基本的に関西弁で話します。

孫堅: 初代君主。髭が濃くひげ剃りを手放しません。荊州攻めの際に命を落とします。
孫策: 二代目君主。暗殺未遂後、狂死します。
孫権: 三代目君主。赤壁の戦いの前に曹操に降伏しようと考えていました。捕らえた関羽にメガネ呼ばわりされ逆上します。
周瑜: 大都督。二枚目として描かれています。帽子の下にハゲを隠しています。
張昭: 軍師。呉で一番勉強ができることを自慢します。
魯粛: 大都督。半魚人として描かれています。周瑜の死後、物語から姿を消します。
呂蒙: 大都督。関羽の亡霊に取り憑かれ死亡します。
陸遜: 呂蒙の遺言により大都督に抜擢されます。傲岸不遜な若者ですが、名指揮官ぶりを発揮します。
甘寧: 陸遜が自分を飛び越して大都督に就いたため荒れますが、後に心服します。

後漢

張角: 黄巾賊の首領。妖術によるスカートめくりを得意とします。曹操に討ち取られます。
何進: 日本ハムファイターズのユニフォームを着ています。
董卓: エアロビクスの最中に曹操に暗殺されかけます。呂布にサイコロステーキにされます。
袁紹: 猿顔で猿のような発言を頻繁にします。優柔不断な性格です。
田豊: 袁紹に不満を抱いています。
袁術: 袁紹に比べ傲岸ですが気が小さいです。皇帝になったときは、袁術タワーなどを建てます。家来に「エビアン汲んできて」と言い残し息を引き取ります。
呂布: 頭にボルトが刺さったフランケンシュタインの怪物。貂蝉のことを思うと筋肉がゆるみます。陳宮に弱点を見抜かれ捕えられます。
陳宮: 呂布を見限り、曹操に降伏します。
貂蝉: 董卓死亡後は玄徳にナンパされます。呂布とよりを戻しますが、呂布死亡後は玄徳の側室となります。
華佗: 呉最高の名医。曹操を手術しようとして殺されます。
張繡: プロレスラーの長州力に良く似た風貌を持ちます。
劉璋: 部下に「本末転倒じゃん」と発言した際にバカにされます。劉備、馬超に裏切られ無血開城します。
張松: 兄弟ともども河童の風貌です。

その他

赤兎馬: 父シンボリルドルフ、母メジロラモーヌという血統です。背中にスピードメーターと燃料計がついています。
* 伴: 片山まさゆきの担当編集者。斬られ役やエキストラとして度々登場します。

備考

制作のきっかけは、片山が当時『三國志』（光栄）や『三国志 中原の覇者』（ナムコ）等の『三国志』を題材にしたゲーム作品にハマっていたことです。

片山自身は「麻雀漫画以外で単行本が2巻以上でたのはこれが初めてで中国大陸には足を向けて寝られない」と語っています。

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