特定妊婦

特定妊婦とは

特定妊婦とは、児童福祉法第6条の3第5項に定義される、養育上の支援を必要とする妊婦のことです。2009年に児童福祉法に明記されました。2010年には875人だった登録数は、2020年には8327人と増加しています。

定義

児童福祉法では、「出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」と定義されています。具体的には、妊娠中に家庭環境にリスクを抱えていたり、複雑な事情により育児が困難と予想されたりする妊婦が該当します。

厚生労働省の通知やガイドラインで、判断要件が示されています。

関係機関の役割

産科医療機関は、特定妊婦の情報を行政機関に提供することが期待されています。日本産婦人科医会からはスクリーニングのためのチェックリストが提案され、日本周産期メンタルヘルス学会からは地域行政機関との情報共有が推奨されています。平成28年の児童福祉法改正により、医療機関や学校等は、支援を要する妊婦を発見した場合、市町村への情報提供が努力義務となりました。

支援

児童福祉法に基づき、特定妊婦は養育支援訪問事業や要保護児童対策地域協議会を通じて養育上の支援を受けます。しかし、登録基準が明確でないため、自治体によって判断や支援内容にばらつきが見られることも指摘されています。

行政機関における個人情報の取り扱いについては、地方自治体間や医療機関との情報交換は、正当行為として守秘義務違反には当たらないと解釈されています。平成28年の法改正で、情報提供が発見者の努力義務として明記されました。

周辺的諸問題

飛び込み出産

特定妊婦の判断要件には「出産の準備をしていない妊婦」が含まれます。飛び込み出産の場合、出生した乳児は要保護児童または要支援児童として連携が図られます。

若年妊娠

若年妊娠も特定妊婦の判断要件の一つです。未成年で出産した場合、親権の問題に注意が必要です。

養育の問題がある妊婦

要保護児童や要支援児童を養育している妊婦も、特定妊婦として支援の対象となります。

妊婦の心身の不調

心身の不調や精神的な問題を抱える妊婦も、支援が必要です。エジンバラ産後うつ病質問票などが活用されることがあります。

望まない妊娠／妊娠葛藤

妊娠葛藤や望まない妊娠も、特定妊婦の判断要件です。厚生労働省は、相談窓口の整備や関係機関との連携を求めています。出産後も養育が期待できない場合には、養子縁組制度や里親制度が検討されます。

胎児虐待

胎児虐待が疑われる場合は、医療機関と自治体が連携することが推奨されています。

不可欠な帝王切開に対する拒否

帝王切開が必要な状況で拒否する事例も、特定妊婦として報告されています。

関連項目

要保護児童
要支援児童
機能不全家族
児童相談所
* 子育て支援センター

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