猪苗代兼載

猪苗代兼載（いなわしろ けんさい）は、室町時代後期から戦国時代にかけて活躍した連歌師です。享徳元年（1452年）に陸奥国会津（現在の福島県会津地方）に生まれ、永正7年（1510年）に下総国古河（現在の茨城県古河市）で没しました。初めは宗春と称し、相園坊、耕閑軒などの別号も用いられました。連歌師としての名声は高く、宗祇と共に連歌の最盛期を築いた人物として知られています。

生涯

兼載は、会津の猪苗代盛実を父として生まれました。叔父には連歌師・歌人の広幢がおり、その子が兼載の後継者となる兼純です。6歳で会津黒川の自在院（真言宗）に出家し、興俊と名乗りました。文明元年（1469年）、関東に下向していた連歌師心敬に師事し、連歌の道に進みます。その後、京都に上り、中央の連歌壇で活躍。延徳元年（1489年）には、宗祇の後を継ぎ、38歳で連歌界で最も名誉ある役職とされる北野連歌会所奉行に就任しました。

周防国山口の大内政弘の支援を受け、宗祇の『新撰菟玖波集』編纂にも参加。阿波や北陸など各地を旅し、文亀元年（1501年）に関東へ下向。岩城、会津、古河などを巡り、連歌や古典の講義を行いました。没地は下総国古河で、墓は栃木県野木町の満福寺にあります。

猪苗代家は連歌の家門として知られ、兼載の子孫は伊達家に仕え、連歌師として活躍しました。

人物と作品

兼載は、連歌を心敬に、和歌を二条派の尭恵に学びました。句集に『園塵』『若草山』、連歌論書に『心敬僧都庭訓』『梅薫抄』『兼載雑談』『景感道』、独吟『聖廟法楽千句』などの作品があります。

宗祇とは長年の交流がありましたが、『新撰菟玖波集』の編纂中に、細川成之の句を巡って対立することもあったようです。しかし、文亀2年（1502年）に宗祇が亡くなった際には、箱根に駆けつけて長歌を詠み、その死を悼みました。

備考

猪苗代地方には、兼載の出生地は小平潟村（現在の福島県耶麻郡猪苗代町）であるという伝承があります。兼載の母が小平潟天満宮に願をかけたことで兼載が生まれたとされ、神童伝説も数多く伝えられています。

また、野口英世は兼載の血筋であるという説があります。英世の父である佐代助の生家である小桧山家が、兼載の同族であるとされています。小平潟村には、英世は実は小平潟村の生まれであり、兼載の生まれ変わりであるという話も伝えられているとのことです。

兼載は連歌の世界で大きな足跡を残し、その文化的影響は今日まで語り継がれています。

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