新撰菟玖波集

『新撰菟玖波集』は、室町時代後期の1495年（明応4年）に成立した連歌の選集です。一条冬良、三条西実隆、宗祇、兼載らが共同で編集を行い、全20巻にわたる大部の選集となりました。

この選集に収録されている連歌は、最も古いもので1429年の作品が含まれています。選集の成立には、文人との交流があった武将、大内政弘が深く関わっています。選集には合計2052句が収録されており、後土御門天皇や心敬、宗砌、そして選者の一人である宗祇自身が作った連歌も含まれています。また、武士による連歌も多く選ばれている点が特徴的です。

『新撰菟玖波集』は、「連歌が最も洗練された時期の選集」と評価されており、連歌の歴史において重要な位置を占めています。

1396年に成立した連歌選集『菟玖波集』と同様に、付句を和歌の勅撰集のテーマ別分類（部立）に倣って分類し、前句とともに収載しています。発句については、『新撰菟玖波集』では第19巻と第20巻にまとめて収録されています。

特筆すべき点として、『新撰菟玖波集』には俳諧の部が設けられていません。当時、ユーモアや滑稽さを狙った俳諧の連歌が流行していましたが、編纂者たちはこれらを収録せず、洗練された句風を持つ純正連歌、すなわち有心連歌の確立を目指しました。

関連研究としては、奥田勲他編による『新撰菟玖波集全釈』全8巻および別巻が、三弥井書店から1999年から2009年にかけて刊行されています。また、岩波書店の『日本古典文學大系』第39巻『連歌集』には、伊地知鐵男による校訂・注釈のもと、「新撰菟玖波集抄」として一部分が収録されています。さらに、金子金治郎による研究書『新撰菟玖波集の研究』が1969年に風間書房から刊行されています。

この選集は、連歌の歴史や文化を研究する上で欠かせない資料であり、当時の連歌文化の隆盛を今に伝える貴重な存在です。洗練された連歌の数々は、後世の文学にも大きな影響を与えたと考えられています。

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