玉林院

玉林院

玉林院は、京都市北区紫野に位置する臨済宗大本山大徳寺の塔頭です。普段は一般公開されていません。

歴史

玉林院は、慶長8年（1603年）に高名な医学者である曲直瀬正琳（まなせ しょうりん）によって創建されました。正琳は、皇室の典医や豊臣・徳川家の侍医も務めた人物で、大徳寺142世の月岑宗印（げっしん そういん）を開祖としてこの寺を建立しました。当初は正琳庵と名付けられていましたが、「琳」の字を分割し、現在の院号である「玉林院」に改められました。

慶長14年（1609年）に火災で焼失しましたが、片桐且元らの尽力により、間もなく再建されました。寛保2年（1742年）には、大坂の豪商・鴻池了瑛（4代目鴻池善右衛門）が、先祖である山中鹿之助の位牌堂として南明庵を建立し、同時に蓑庵と霞床席が造営されました。

玉林院は、大龍和尚、龍門和尚、無学和尚、大順和尚、拙叟和尚といった名僧を輩出したことでも知られています。

墓地には、曲直瀬正琳、山中鹿之介、片桐且元以下4代、有馬豊治、小出吉政、佐竹義宣など、歴史的な人物の墓があります。

建造物

本堂
元和7年（1621年）に建立された、一重入母屋造、桟瓦葺の建物です。大徳寺の塔頭の本堂の中では最も規模が大きく、内部の襖には狩野探幽をはじめとする狩野一門の絵師によって描かれた70面もの水墨画があります。
南明庵
鴻池了瑛が寛保2年（1742年）に先祖である山中鹿之介を祀るために建てたもので、鹿之介の位牌が安置されています。基壇には楽長入作の赤楽の敷瓦がはめ込まれています。
茶室
蓑庵（さあん）
表千家7世・如心斎宗左の好みで建てられた茶室です。中潜り、腰掛、雪隠などを伴う露地があり、三畳中板台目切りとなっています。中柱には赤松の曲り柱が用いられ、周りはすさ壁で囲まれています。このすさ壁の技術は、現代では完全には再現できないと言われています。
霞床席（かすみどこせき）
四畳半の茶室で、床の間の中央に違い棚が設けられています。この違い棚は奥の壁から少し離して設置されており、壁に富士山の絵の掛け軸を掛け、違い棚を富士山にかかる霞に見立てるという趣向が凝らされています。霞床席の名前の由来もここにあります。
洞雲庵
桑山宗仙（千利休の息子・道安の門人であり、片桐石州の師）が建立したものを、昭和19年（1944年）に19世である泰堂和尚が表千家即中斎宗匠の好みで再建したものです。

文化財

玉林院には、以下の文化財があります。

重要文化財
本堂（附 玄関）
南明庵及び茶室（蓑庵、霞床席） 3棟 （附 蓑庵露地）
絹本著色釈迦如来像

アクセス

JR京都駅より京都市バス・大徳寺前（約30分）下車、徒歩

関連項目

讃州寺

外部リンク

公式ウェブサイト
重文茶室「蓑庵」ー構造模型で見る茶室建築の世界 - YouTube（大阪くらしの今昔館）

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