生駒騒動

生駒騒動について

誘因と背景

生駒騒動は、江戸時代初期、讃岐高松藩の生駒家で起きたお家騒動です。生駒家は織田信長や豊臣秀吉に仕えた家系で、特に生駒親正が重要な役割を果たしました。彼は四国平定後に豊臣政権に参加し、家康の信任を得ることで藩主としての地位を築きました。しかし、様々な原因から、この家は最終的に改易という運命を遂げることになります。

騒動の発端

元和7年（1621年）、生駒家の当主正俊が36歳で急死し、11歳の息子が後を継ぎました。若い藩主を支えるため、外祖父である藤堂高虎が後見に就任しました。高虎は有力家臣を指導的地位に置き、自らの影響力を保持しましたが、藩主である高俊は無責任な振る舞いをし、藩政を家臣に任せて自らの快楽に耽ってしまいます。

高俊の行動は「生駒おどり」と呼ばれ、高俊が美少年たちと共に楽しむ姿が周囲の非難を集めました。このような藩主の乱行が続く中、権力を握る前野助左衛門や石崎若狭といった家臣らは、藩政を私物化し始め、次第に不満を抱く者たちとの対立が激しくなりました。

騒動の進展

寛永12年（1635年）、江戸城の修築に際し、藩主は江戸の材木商から借金をし、当時は禁忌とされていた松林を伐採してしまいます。この行為に家中の者たちが怒りを覚え、帯刀を通じて訴えを起こしました。帯刀は京都の藤堂家に訴状を提出し、一時は問題が収束するかのように見えましたが、家中の争いはさらに悪化していきました。

寛永15年（1638年）には、再度藩政の不安定さが高次に訴えられました。幕府もこの騒動に興味を示し、解決を図るために項を設けることになります。高次は最終的に両派の代表5人に切腹を命じる決定を下し、これが騒動の最終段階へと繋がっていきました。

結末と影響

騒動の結果、帯刀は出雲松江藩に預けられ、その他の者は別々の大名家に引き渡されました。前野と石崎の派閥は重い罰を受け、数名が命を失うこととなります。さらに、藩主高俊も家中の不取締りを理由に城地を没収され、流罪に処されました。これは生駒家の大名としての地位を大きく揺るがす結果となりました。

その後、藩は幕府直轄地となり、新たに松平頼重がその地位に就くことになりましたが、最終的には生駒家も復活の道を歩むこととなります。戊辰戦争後に生駒家は大名として復権し、出羽矢島1万5千石を与えられることになります。

生駒騒動は藩の内部紛争が招いた悲劇の一例として、歴史に名を残しています。家臣間の争いが藩主の命運にまで影響を与える様子は、当時の政治的緊張がいかに深刻であったかを示しています。

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