白いパラソル

松田聖子のシングル「白いパラソル」

「白いパラソル」（しろいパラソル）は、1981年7月21日にCBS・ソニーからリリースされた松田聖子の6枚目のシングルです。この作品の規格品番は07SH 1026で、アナログレコード形式で発売されました。さらに、2004年には紙ジャケット仕様の限定盤CDとして再登場しました。

背景

本作の作詞は、前々作を担当した三浦徳子から松本隆に変更されました。松本隆は、すでにアルバム『Silhouette』内の「白い貝のブローチ」の作詞を手がけた実績がありますが、シングル作品での作詞はこれが初めての試みです。音楽の作曲は、前作に引き続き財津和夫が担当しました。

歌詞の中に登場する「風を切る『ディンギー』でさらってもいいのよ」というフレーズについて、松本は後年に「ディンギーは一人乗りのヨットなので、一緒に乗ることができない」と考え直したことを述べています。なんと、松田聖子自身もこの言葉の意味を知らなかったため、発売から1年後に松本に確認したといいます。また、ディンギーは大瀧詠一の作品「君は天然色」でも使われており、松本の詩作におけるアイデアの広がりを示しています。

タイトルの「白いパラソル」は、大瀧のアルバム『A LONG VACATION』のジャケットデザインからインスパイアを受けたものであると松本は語っています。このことから、本作が大瀧の音楽に多大な影響を受けていることがわかります。

音楽スタイルと制作

「白いパラソル」は、従来のアイドル歌謡とは異なり、スローテンポな曲調が特徴です。聖子は初めにデモテープを聴いた際に、アルバム収録曲だと誤解したほどでした。レコーディングは映画『野菊の墓』の撮影と重なっていたため、進行は難航し、スタッフの間で冗談交じりに「カラオケで発売する」という意見も出ました。

また、本作の編曲も容易には決まらず、プロデューサーが満足できる形になるまでに多くの試行錯誤がありました。その影響か、ベースラインが強調されたデモバージョンがネット上で見かけられることもあります。

ヒットとパフォーマンス

この曲は、TBS系の人気番組『ザ・ベストテン』で初めて初登場で1位を獲得しました。これを記念して、大阪のエキスポランドから中継出演し、本曲を歌った後に追っかけマンの青木和雄アナウンサーと共演して、アトラクション「スペースザラマンダー」にも乗車しました。こうしたパフォーマンスは、当時の聖子の人気を裏付けるものとなりました。

収録曲

収録曲は、全て松本隆が作詞し、財津和夫が作曲を担当しています。以下が収録内容です:

• - 白いパラソル（3:30） - 編曲：大村雅朗
• - 花一色〜野菊のささやき〜（4:19） - 編曲：瀬尾一三

この曲は、東映映画『野菊の墓』の主題歌であり、松田聖子が映画デビューを果たした作品でもあります。

カバーと関連作品

「白いパラソル」は、財津和夫や二階堂和美、斉藤和義など多くのアーティストによってカバーされています。財津は自身のアルバム『Z氏の悪い趣味』に収録し、他にも多くのアーティストが自身の作品にこの曲を取り入れています。

また、「白いパラソル」に関する関連作品も多数存在し、松田聖子のベストアルバムやCD-BOXに収録されている他、様々な楽曲で聖子の影響を感じることができます。

このように、「白いパラソル」は松田聖子の音楽キャリアにおいて重要な位置を占めるシングルであり、今なお多くのファンに愛されています。

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