白石奈緒美

白石奈緒美：女優から料理研究家へ、そして高齢社会への貢献

白石奈緒美（1935年 - 2019年）は、カナダ・バンクーバー生まれの日本の女優、料理研究家です。貿易商の父と、女優である姉・白石かずこのもとに生まれました。武蔵野女子学院短期大学卒業後、1955年、ラジオ東京放送劇団に入団。当初は演出家を志望していましたが、女性の演出家はいないという理由から女優に転向しました。

1956年、東宝からスカウトを受け、映画『若人の凱歌』でデビュー。放送劇団に所属しながら映画に出演した最初の女優と言われています。その後、1957年に東宝に入社しますが、1959年に退社しフリーとなります。結婚を機に引退しますが、1970年代に活動を再開し、女優として数多くの作品に出演しました。

映画、テレビドラマにおいて、白石奈緒美は幅広い役柄を演じました。東宝作品を始め、時代劇から現代劇まで、その演技力は高く評価されています。代表的な出演作には、『天上大風』『大安吉日』『美女と液体人間』などの映画作品、そして『特別機動捜査隊』『鬼平犯科帳』『暴れん坊将軍』など数多くのテレビドラマ作品があります。特に、時代劇においては、個性的な女性像を演じきり、視聴者から深い印象を与えました。また、現代劇においても、繊細な表現力によって様々な役柄を演じ分け、幅広い演技力を示しました。

女優活動と並行して、白石奈緒美は料理研究家としても活躍しました。1978年には、商品科学研究所の論文公募で「薬罐 - その歴史的変遷と現在の製品についての問題点」で1位に入賞。この論文をもとに使い勝手の良いやかんが商品化されるなど、実用的な研究成果も上げています。お菓子コンクールでのグランプリ受賞歴もある彼女は、1980年代には料理に関する書籍を多数出版。家庭料理を中心に、料理に関する知識や工夫を分かりやすく伝えることで、多くの家庭料理愛好家から支持を集めました。その料理本は、現在でも料理愛好家から高い評価を得ています。

学術的な探究心も持ち合わせていた白石奈緒美は、1969年から早稲田大学大学院で日本美術史を研究しました。多様な分野への関心の高さと探究心は、彼女が多様な才能を発揮する原動力となったと言えるでしょう。

白石奈緒美は、晩年は高齢社会問題にも積極的に関わっていました。『高齢社会ジャーナル』の編集長を務めるなど、高齢者の社会参加や生活の質の向上に貢献しました。女優、料理研究家、そして高齢社会ジャーナルの編集長という、多様な顔を持つ彼女は、それぞれの分野で卓越した能力を発揮し、多くの人の記憶に残る存在となりました。

2019年8月3日、虚血性心不全のため、84歳で東京都調布市の自宅で亡くなりました。女優としての華麗なキャリア、料理研究家としての成功、そして高齢社会への貢献という、充実した人生を送りました。彼女の功績は、これからも多くの人に影響を与え続けるでしょう。

主な出演作品

映画: 『若人の凱歌』、『天上大風』、『大安吉日』、『美女と液体人間』、『愛のコリーダ』など多数
テレビドラマ: 『特別機動捜査隊』、『鬼平犯科帳』、『暴れん坊将軍』、『キイハンター』、『時間ですよ』など多数

主な著作

『折々に女は美しい：奈緒美の家事歳時記』
『恋女房志願：料理で愛をつかむ法』
* 『わたしの料理手帖：これならできる奈緒美の健康レシピ』など多数

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