皆川明

皆川明：独自の感性で紡ぐ、日本のファッションシーンを彩るデザイナー

皆川明氏は、1967年東京都生まれのファッションデザイナーであり、多摩美術大学教授として後進の育成にも携わっています。高校時代は陸上競技に打ち込んでいましたが、怪我を機に長距離ランナーの道を断念。その後、進学せずにヨーロッパ各地を旅する中で、祖父母の影響もあり北欧デザインやライフスタイルに魅せられました。この経験が、後のデザインに大きな影響を与えています。

ヨーロッパ旅行から帰国後、19歳で文化服装学院の夜間コースに入学。文化祭のファッションショーへの参加が、ファッションデザイナーとしての道を歩むきっかけとなります。卒業後は、アパレルメーカー「P・J・C」に勤務し、パターン製作やレース素材の技術を習得しました。

27歳の時、独立して自身のブランド「ミナ（minä）」を設立。ブランド設立当初は軌道に乗せるまで苦労し、築地魚市場でアルバイトをしながら生計を立てていたというエピソードも有名です。その後、ブランド名を「ミナ ペルホネン（minä perhonen）」に変更し、2004年にはパリ・コレクションに初参加を果たします。

「ミナ ペルホネン」は、フィンランド語で蝶を意味する「ペルホネン」というブランド名からも分かるように、北欧デザインの影響を強く受けた、独特のテキスタイルデザインが特徴です。自然への深い愛情、そして丁寧な物作りへの姿勢は、多くのファンを魅了し続けています。フィンランド語を商品名に用いるなど、北欧文化への造詣の深さがブランドの世界観を形作っています。

皆川氏のデザインは、東京スカイツリーや青森県立美術館、伊勢丹新宿本店のユニフォームデザインなど、幅広い分野で展開されています。また、『装苑』誌では「minä perhonen のえことば」を連載するなど、執筆活動にも取り組んでいます。

その才能は高く評価されており、2006年には毎日ファッション大賞、2015年には毎日デザイン賞、2016年には芸術選奨新人賞など、数々の賞を受賞しています。国内外で個展やグループ展を開催し、その活動は日本国内にとどまらず、海外にも及んでいます。近年では、台湾・高雄市立美術館での個展開催も記憶に新しいところです。

さらに、NHKの「トップランナー」「プロフェッショナル 仕事の流儀」「日曜美術館」など、数多くのメディアにも出演し、そのデザインへの情熱や人生観について語っています。これらの出演を通して、皆川氏のデザインへの考え方や、日々の生活における姿勢などが広く知られるようになりました。

数々の書籍の編著も手がけており、デザインだけでなく、生活や人生観といった幅広い視点を共有しています。 これらの活動を通して、皆川氏は日本のファッションシーンに大きな影響を与え、独自の感性と丁寧な物作りで多くの人々を魅了し続けているのです。 彼の作品は、単なる衣服やテキスタイルではなく、人生観や哲学が込められた、まさに「100年続く」デザインと言えるでしょう。

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