目黒邸

目黒邸：豪農の歴史を今に伝える重要文化財

目黒邸は、新潟県魚沼市にある江戸時代後期の豪農、目黒家の邸宅です。1797年（寛政9年）に建てられたこの建物は、割元庄屋（大庄屋職）の役宅を兼ねており、当時の地方における有力者の暮らしぶりを今に伝えています。その歴史的価値の高さから、1974年（昭和49年）に国の重要文化財に指定されました。

豪雪地帯の知恵が息づく建築

目黒邸の最大の特徴は、豪雪地帯特有の建築様式である中門造りです。主屋は茅葺屋根の寄棟造で、豪雪に耐えるために太い丸太を組み合わせた頑丈な構造となっています。釘をほとんど使わず、木材を組み合わせて固定する伝統的な工法も用いられています。

表門を入ると、土間、炉、茶の間などが広がり、当時の生活空間を垣間見ることができます。奥座敷は藩の役人をもてなすための空間で、格式高い造りとなっています。また、明治時代に建てられた数寄屋造りの新座敷「橡亭（ちょてい）」は、各地の銘木を用いた贅沢な空間で、目黒家の文化的な側面を伝えています。

歴史を物語る蔵と庭園

主屋の裏手には、天保11年（1840年）建造の新蔵と明治4年（1871年）建造の中蔵が現存しており、往時の目黒家の財力を偲ばせます。かつては、米蔵、味噌蔵、醤油蔵なども存在し、自家製の酒造りも行われていました。現在、その技術は地元の玉川酒造に受け継がれています。

奥座敷から望む庭園は、江戸時代後期に築かれた池泉回遊式庭園です。自然の地形を生かした庭園には、石灯籠や石組などが配置され、四季折々の風景を楽しむことができます。庭園内には、目黒家の鎮守である石動社もあります。

目黒家の歴史

目黒家は、戦国時代には会津蘆名氏に仕えていましたが、蘆名氏が伊達政宗に敗れた後、越後国魚沼に移り住み帰農しました。江戸時代には、上条郷の肝煎役や庄屋を務め、地域の発展に貢献しました。特に、飢饉の際には私財を投じて領民を救済するなど、その功績は高く評価されています。

幕末から明治にかけては、当主が新潟県会議員や衆議院議員を務め、国政にも関わりました。また、地方の近代化にも尽力し、農業、金融業、製糸業、酒造業など様々な産業の振興に貢献しました。教育機関の設立や道路・鉄道の整備にも尽力し、地域の発展に大きく貢献しました。

現在の目黒邸

現在、目黒邸は新潟県立奥只見レクリェーション都市公園 須原公園の一部として一般公開されており、当時の建物や庭園を見学することができます。また、目黒邸資料館では、目黒家の歴史や文化に関する資料が展示されています。映画やドラマのロケ地としても利用されており、その美しい景観は多くの人々を魅了しています。

基本情報

所在地: 新潟県魚沼市須原153
アクセス: JR只見線越後須原駅から徒歩約3分
開館時間: 9:00～17:00（12月～3月は10:00～16:00）
休館日: 12月29日～1月3日
* 入館料: 大人500円、小中学生250円

目黒邸は、歴史と文化に触れることができる貴重な場所です。魚沼市を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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