知的財産管理技能士

知的財産管理技能士とは

知的財産管理技能士は、知的財産に関する知識と実務能力を国が認定する国家資格です。これは、職業能力開発促進法に基づく技能検定制度の一環として設けられました。知的財産管理技能士の資格は、企業や団体において、知的財産を適切に管理し、その活用を推進する上で重要な役割を担う人材を育成することを目的としています。

資格の概要

知的財産管理技能士は、企業や団体に所属する職員が、組織内で知的財産に関する能力を十分に発揮できるよう、その能力を国が証明するものです。弁理士のように独占業務は付与されていませんが、知的財産に関する専門家として、企業戦略において重要な役割を果たします。資格は、その技能レベルに応じて1級、2級、3級に区分されています。

区分

1級: 知的財産管理における上級技能者として、業務上の課題発見と解決を主導できる能力が求められます。経済産業省の「知財人材スキル標準(IPSS)」レベル4に相当し、特許、コンテンツ、ブランドのいずれかの専門分野を選択します。
2級: 知的財産管理における中級技能者として、必要な技能と知識を有していることが求められます。IPSSレベル2に相当します。
3級: 知的財産管理における初級技能者として、基礎的な技能と知識を有していることが求められます。IPSSレベル1に相当します。

受検資格

各級には、それぞれ受検資格が設けられています。

1級: 2級合格後1年以上の実務経験、または3級合格後2年以上の実務経験が必要です。4年以上の実務経験、または大学・大学院で関連科目10単位以上修得し1年以上の実務経験がある場合も受験可能です。ビジネス著作権検定上級合格者で1年以上の実務経験者も含まれます。
2級: 3級合格者、または2年以上の実務経験が必要です。大学・大学院で関連科目10単位以上修得した場合、ビジネス著作権検定上級合格者も受験可能です。
3級: 知的財産管理業務に従事しているか、または従事しようとする意思のある者が対象です。

試験内容

試験は、学科試験と実技試験で構成されています。

学科試験

1級: 筆記試験（マークシート方式、4肢択一式）。特許、コンテンツ、ブランドの専門分野ごとに試験科目があります。
2級: 筆記試験（マークシート方式、4肢択一式）
3級: 筆記試験（マークシート方式、3肢択一式）

実技試験

1級: 記述式筆記試験と口頭試問。
2級・3級: 記述式筆記試験。

試験科目

1級は選択した専門分野により試験科目が異なります。

特許専門業務：リスクマネジメント、契約、エンフォースメント、資金調達、価値評価、関係法規、特許戦略、法務、情報調査、国内・外国権利化。
コンテンツ専門業務：リスクマネジメント、契約、エンフォースメント、資金調達、価値評価、関係法規、コンテンツ開発戦略、コンテンツ創造支援、コンテンツ保護。
ブランド専門業務：リスクマネジメント、契約、エンフォースメント、資金調達、価値評価、関係法規、ブランド戦略、情報調査、国内・外国権利化。

2級は、戦略、法務、リスクマネジメント、調査、ブランド・技術・コンテンツ・デザイン保護、契約、エンフォースメント、関係法規です。

3級は、ブランド・技術・コンテンツ・デザイン保護、契約、エンフォースメント、関係法規となります。

免除制度

特定の条件を満たすことで、試験の一部が免除される制度があります。

知的財産検定の合格者は、特別講習の受講と修了試験合格で、技能検定の該当級が認定されました。（2011年3月31日まで）
大学院で関連科目20単位以上修得した者は、2級の学科試験が免除。
* 1級合格者は、異なる専門分野の学科試験が免除。

合格後の称号

合格者には合格証書が交付され、「〇級知的財産管理技能士」と名乗ることができます。名刺等に記載する際には、等級、正式職種名、技能士の順に記載する必要があり、等級の省略や誤った表示は認められていません。

知的財産管理技能検定委員

試験問題の作成、採点などを行う検定委員は、知的財産に関する専門知識を持つ、省庁・団体・大学教授や弁理士、弁護士、1級知的財産管理技能士などで構成されています。

過去の実施状況

試験は年3回実施され、各級の最終合格率は1級：約7%、2級：約27%、3級：約72%となっています。

まとめ

知的財産管理技能士は、知的財産に関する専門知識と実務能力を証明する国家資格です。企業や団体における知的財産戦略の中核を担い、特許、コンテンツ、ブランドの専門分野で活躍することが可能です。自身のキャリアアップのため、知的財産分野での専門性を高めるため、この資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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