神戸市立中央図書館

神戸市立中央図書館：歴史と文化を紡ぐ大規模図書館

神戸市立中央図書館は、兵庫県神戸市中央区に位置する、市内11館を統括する本館です。大倉山公園という緑豊かな環境に抱かれ、地域住民にとってかけがえのない存在として、長い歴史を刻んできました。通称「大倉山図書館」として親しまれており、その規模と充実した蔵書は、政令指定都市の図書館の中でも屈指を誇ります。

歴史と変遷：100年を超える歩み

中央図書館の起源は1911年、神戸市会の図書館設置議案可決に遡ります。神戸市役所内に開設された図書館は、その後、1921年に現在の地へと移転。大倉山に新たな本館が誕生しました。当時は図書館令に基づき、兵庫県では県立図書館の開館が遅れたため、本館が「中央図書館」としての役割を担うこととなりました。

その後、1939年には上筒井分館が開設されましたが、1945年の神戸大空襲で焼失。本館は被害を免れ、戦後にはリンカーンCIE図書館が設置されるなど、激動の時代を乗り越えてきました。

1950年代以降は、市内への分館・分室の設置が積極的に進められ、市内の図書館ネットワークの基盤が築かれました。1972年には組織再編が行われ、各行政区の拠点館としての役割が明確になり、同時に本館は「神戸市立中央図書館」と改称されました。

1980年には現在の1号館が竣工。しかし、1995年の阪神・淡路大震災では、旧本館が大きな被害を受け、取り壊しとなりました。その跡地には1997年に2号館が建設され、現在に至ります。

充実した蔵書と貴重なコレクション

中央図書館は、100万冊を超える膨大な蔵書数を誇ります。これは、近隣の兵庫県立図書館を大きく上回る規模です。単なる蔵書数の多さだけでなく、質の高いコレクションも魅力です。

特に注目すべきは、以下の特殊コレクションです。

神戸ふるさと文庫: 神戸市の歴史や文化に関する貴重な資料を約2万点収蔵。
1・17文庫: 阪神・淡路大震災に関する資料を約3000点収蔵、歴史的な災害を記録・伝承。
松本海事文庫: 港湾、開運、貿易に関する貴重な資料約1万6000点を収蔵。
吉川文庫: 中国文学研究者・吉川幸次郎氏寄贈の古典・刊本コレクション約2万4000点。
青丘文庫: 朝鮮半島に関する文献約3万点を収蔵。専用ウェブサイトも開設。
おきしお文庫: 各拠点図書館のテーマを補完する専門的な図書を収蔵。
藤田レコードコレクション: 音楽評論家・藤田光彦氏寄贈のSP[[レコード]]約4500枚。
神戸賀川サッカー文庫: サッカー関連書籍・雑誌約5000点を収蔵。専用ウェブサイトも開設。

これらのコレクションは、研究者や市民にとって貴重な情報源となっています。

地域社会への貢献

中央図書館は、単なる蔵書保管施設ではありません。地域社会に貢献する重要な文化施設として、市民に開かれた空間を提供しています。年間70万人を超える来館者数を誇り、市民の学習や読書を支えています。また、自動車文庫による巡回サービスも展開しており、地域全体への情報提供にも努めています。

アクセスと開館時間

神戸市営地下鉄西神・山手線大倉山駅から徒歩3分というアクセスしやすい立地も魅力です。開館時間は午前9時15分から、平日・土曜日は20時、日曜・祝日は18時までです。休館日は毎週月曜日（祝日の場合は翌日）、館内整理日（2・6・10・12月の第3木曜日）、年末年始です。

神戸市立中央図書館は、歴史と文化を継承し、未来へつなぐ重要な役割を担う、神戸の象徴的な存在と言えるでしょう。

もう一度検索