神戸市立新長田図書館

神戸市立新長田図書館：地域に根付く学びの拠点

神戸市立新長田図書館は、兵庫県神戸市長田区に位置する、地域住民にとってかけがえのない存在の図書館です。1958年、長田区池田経町の観音山公園内に神戸市立図書館長田分館として開館しました。その後、1972年には「長田区の拠点図書館」として神戸市立長田図書館に改称され、地域の中核的な役割を担うようになりました。

1990年代に入ると、施設の老朽化と機能拡充の必要性から移転計画が検討され、新長田駅近くの市営細田住宅2階への移転が決定しました。しかし、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の影響で移転は遅延し、実際の開館は同年12月12日となりました。

新長田図書館は、開館当初から「韓国・朝鮮図書コーナー」を設置するなど、長田区の地域特性を考慮したサービス提供に力を入れてきました。2006年には、このコーナーをさらに充実させ、「アジアコーナー」として中国、モンゴル、東南アジア各国の資料も取り扱うようにリニューアルされました。この取り組みは、多様な文化への理解を促進する上で重要な役割を果たしています。

2012年には、神戸市内の地域拠点図書館で「おきしお文庫」が設置されました。各館ごとに収集テーマが設定されており、新長田図書館では、開館以来の資料収集方針を踏襲して「歴史・地理（社会）」をテーマに選定。地域の歴史や文化に関する貴重な資料を収集し、保存・提供することで、地域社会の発展に貢献しています。

図書館の運営は、神戸新聞社と図書館流通センター（TRC）の連合体が指定管理者として担っています。しかし、2016年には、TRCの契約社員による図書カードの不正発行事件が発生しました。この事件は、図書館運営における課題を浮き彫りにし、管理体制の強化が求められる契機となりました。

現在、新長田図書館は、JR神戸線、神戸市営地下鉄西神・山手線新長田駅から徒歩5分、山陽電鉄本線西代駅から徒歩5分というアクセスしやすい立地にあります。市営細田住宅2階に位置し、集会所や地域センターなども併設されており、地域住民が集い、交流する場としても活用されています。

蔵書数は10万冊を超え、市内11館中第5位を誇ります。来館者数も多く、地域住民にとって重要な情報拠点となっています。一方で、貸し出し冊数は11館中11位と、蔵書数の多さに比べて貸し出し冊数が少ない点が課題となっています。この課題に対する改善策として、より魅力的なサービスの提供や、地域住民への積極的な情報発信が考えられます。

新長田図書館は、単なる図書館という枠を超え、地域住民の学習、情報収集、文化交流の場として、重要な役割を担っています。今後も、地域社会のニーズに応じたサービスを提供し、地域住民に愛される図書館として発展していくことが期待されます。

アクセス情報

住所：〒653-0835 兵庫県神戸市長田区細田町7-1-27 市営細田住宅2階
交通：JR神戸線、神戸市営地下鉄西神・山手線新長田駅から北へ徒歩5分、または山陽電鉄本線西代駅から南へ徒歩5分

周辺施設

シューズプラザ
長田郵便局
水笠通公園

参考文献

『神戸市立図書館 事業概要 平成28年版』
* 創元社編集部『関西図書館あんない BOOKMAP 大阪 兵庫 京都 奈良 滋賀 和歌山 専門 大学 公共』（創元社、2007年）ISBN 978-4-422-25048-9

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