神茂

有限会社神茂（かんも）

有限会社神茂（かんも）は、東京都中央区日本橋室町一丁目に本店を構える、江戸時代から続く由緒ある食品製造販売業者です。主な事業として、伝統的な製法による「はんぺん」や「蒲鉾」などの練り製品を手がけています。

歴史と沿革

その創業は、元禄元年（1688年）にまで遡ります。大阪の神崎川（現在の大阪市淀川区新高）出身とされる初代・神崎屋長次郎が、当時の江戸、現在の日本橋の地に店を構え、はんぺんや蒲鉾の製造・販売を始めたのが、神茂の起源とされています。以来、300年以上の長きにわたり、この地で暖簾を守り続けています。

神茂の歴史は、代々の当主によって紡がれてきました。初代神崎屋長次郎から始まり、二代目神崎屋長右衛門（1661年継承）、三代目神崎屋六右衛門（1674年継承）と引き継がれます。特に重要な転換点として、五代目神崎屋新右衛門（1683年継承）の時代に、鮫を原料とした半ぺんの製造が始まったことが挙げられます。これは、神茂の代名詞ともいえる「手取り半ぺん」の原点となった技術革新でした。

その後も六代目から十二代目に至るまで神崎屋長右衛門の名が続き、十二代目は後に十三代目神崎屋茂三郎と改名します。十四代目も神崎屋茂三郎として継承されました。歴史が大きく動いたのは、大正15年（1926年）に十五代目となった井上茂三郎氏の時代です。この代より姓が神崎屋から井上へと改められました。戦時下には一時的に商売の中断を余儀なくされましたが、終戦後に十六代目井上茂三郎氏によって営業が再開され、困難な時代を乗り越えました。

平成3年（1991年）には十七代目井上茂三郎氏が継承し、この年には神茂ビルが竣工するなど、事業の近代化も進められました。そして現在、十八代目となる井上卓氏が伝統を受け継ぎ、江戸時代から続く神茂の味と精神を今に伝えています。

主な商品

神茂は、熟練の職人の手によって作られる多彩な練り製品を提供しています。中心となるのは、創業以来の看板商品である半ぺんです。「手取り半ぺん」は、その名の通り手作業で作られる伝統的な逸品で、その他に「半ぺんあられ」や「半月」などがあります。蒲鉾・伊達巻としては、「なると」や「三色チーズ」、お正月などに欠かせない「伊達巻」や、様々な風味の「蒲鉾」を取り揃えています。さつま揚げの種類も豊富で、「養老揚」「利久揚」「上揚やさい」「上揚しろ」「さつま揚」など、それぞれの素材や製法にこだわった製品が並びます。この他にも、「大判生姜天」といった野菜・海鮮揚げや、家庭で手軽におでんを楽しめるよう、おでん種も充実しています。「つみれ」「玉子」「大根」「竹わぶ」「結び昆布」「すじ」「焼竹輪」「揚ボール」「きんちゃく」といった定番から、本格的な「おでん」セットや「だしの素」まで提供しています。

また、練り製品だけでなく、豆・煮物・巻物といった一品料理も扱っており、「煮こごり」「にしん昆布巻」「金時豆」「ふき豆」など、食卓を彩る品々を提供しています。

店舗情報・アクセス

神茂の本店は、東京都中央区日本橋室町一丁目11番8号に位置しています。営業時間は平日が午前10時から午後6時まで、土曜日および祝日は午前10時から午後5時までとなっており、日曜日が定休日です。駐車場はありませんので、公共交通機関の利用が便利です。

アクセスは複数の路線から可能です。
JR総武線：新日本橋駅より徒歩約5分。
東京メトロ銀座線：三越前駅より徒歩約3分。
東京メトロ東西線：日本橋駅より徒歩約6分。
都営地下鉄浅草線または東京メトロ日比谷線：人形町駅より徒歩約7分。

その他

神茂は、日本料理において重要な位置を占めるはんぺんや蒲鉾、おでんといった食文化を支える存在です。古くから続く老舗の集まりである東都のれん会にも加盟しており、その伝統と品質は多くの参考文献でも紹介されています（例：『東京人』の記事など）。

三百年以上の歴史を持つ神茂は、初代から受け継がれてきた技術と味を守りつつ、現代の食卓に合わせた製品も開発しながら、伝統の江戸の味を日本橋の地で伝え続けています。その歴史や商品に関する詳細は、公式サイトなどで確認することができます。

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日本料理、はんぺん、蒲鉾、おでん、東都のれん会

外部リンク:
神茂 公式サイト
東都のれん会 神茂 紹介ページ

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