禁煙パイポ

禁煙パイポの歴史と影響

禁煙パイポ（きんえんパイポ）は、1984年にマルマンの関連会社アルマンによって発売された禁煙補助具で、現在はマルマンH&Bが製造・販売を行っています。タバコをやめたいと考える人々に向けて開発され、CM放映を通じて多くの話題を呼び起こしました。

開発の背景

この禁煙パイポは、フロイトの口唇期理論に基づいており、愛煙者が喫煙以外の時間にパイプを口にする理由を探求する過程で生まれました。また、伝統的な縁日のハッカパイプからインスピレーションを受け、ミントや柑橘類の風味を取り入れた味わいを楽しみながら、タバコの代わりとして使えるように設計されています。商品名の「パイポ」は、日本の落語「寿限無」に由来し、音の響きがパイプに似ていることから選ばれました。

テレビコマーシャルの影響

禁煙パイポの認知度を広めたのは、その印象的なテレビコマーシャルです。コマーシャルには3人の男性が登場し、禁煙パイポを使ってタバコをやめた経験を語ります。その中で、青い背景にたたずむ男性が「私（わたくし）は、この禁煙パイポでタバコをやめました」と述べ、次に「私（わたし）もこのパイポでタバコをやめました」と続き、最後に登場する男性が小指を立てて「私はコレで、会社を辞めました」と語ります。市川準の演出によるこのコマーシャルは、公序良俗に反するとの懸念があったものの、視聴者の反響を受けて放送に至りました。

初期の反響と売上

禁煙パイポが初めてテスト販売されたのは1984年5月、静岡県でしたが、その後、東京都での放映が開始されると大きな話題を呼び、多くの人々が製品に興味を持つようになりました。初年度の売上は7億円、3年後には40億円にまで膨れ上がり、コマーシャルでの「私はコレで会社をやめました」というセリフは、1985年の新語・流行語大賞で受賞しました。手塚和重（当時44歳）の存在は特に目立ち、街中でサインを求められることもあったほどです。

後の展開と最近の活動

2010年には、26年ぶりに同じ手塚が登場するCMが制作され、昭和の公団住宅の風景を背景に新たなバージョンが放映されました。2018年には、手塚が「酸素ミスト吸引スティック」のCMに登場し、「あれから34年、私はコレで元気にやってます」と語る姿が披露されています。また、2023年38年目には、北の達人コーポレーションの新商品『SPADE（スペード）』の公式アンバサダーに手塚が就任するなど、禁煙パイポは長年の歴史を経て、現在でも多くの人々に支持され続けています。禁煙パイポは、ただの禁煙補助具を超え、文化的なアイコンとしての地位を確立したと言えるでしょう。

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