公団住宅

公団住宅の概要

公団住宅は、日本住宅公団が供給した住宅で、主に都市部で働く地方出身の中流サラリーマン家庭に向けて設計されています。昭和30年代から40年代にかけて、良質な住宅を都市近郊に大量に供給するため、広大な土地開発と住宅建設が行われました。この取り組みは、当時としては数百世帯から千世帯を超える大規模なものであり、その後の民間デベロッパーの先駆けとも言える存在です。

公団住宅の多くは、階段室型の中層5階建ての鉄筋コンクリート造の集合住宅として設計されており、外側を取り囲むように配置されています。また、大規模な団地では、中心部に商店や銀行、郵便局などの生活に不可欠な施設が整備されており、これにより入居者は団地内でほとんどの生活必需品を賄うことができます。

各住宅の広さは、4人家族（夫婦と子供2人）を想定した3DKタイプが多く、40m²から60m²程度の間取りが一般的です。当初は賃貸タイプのみが提供され、家賃は中流サラリーマンの月収の約40%前後に設定されていました。これにより、家賃は民間のアパートに比べて必ずしも安くはありませんでしたが、それでもモダンな生活を求める多くの家庭からの申し込みが寄せられ、抽選に当選するのは非常に難しい状況でした。

昭和40年代には、政府の持ち家政策の一環として、賃貸とほぼ同様の仕様の住宅が分譲として販売されるようになり、これにより多くの家庭がマイホームを持つ機会を得ました。賃貸タイプは、現在もUR賃貸住宅として継承されており、建築開始から入居している世帯には特別に継続家賃が適用されているため、収入に対する家賃の割合は比較的低く抑えられています。

分譲タイプに入居している方々は、現役時代には高金利の住宅ローンを抱えていましたが、約30年のローンを返済し終えた結果、月々の支出は管理組合や居住棟の保全会に支払う管理費と修繕積立金だけに減少し、賃貸タイプの家賃の数分の一にまで軽減されています。このため、分譲入居者の負担は大きくなくなる傾向にあります。

公団の名称の使用例

「公団」という名称は、公共の場や団体において今なお使用されています。例えば、高根公団駅は千葉県船橋市に位置し、新京成電鉄の新京成線にある駅です。また、徳力公団前駅は福岡県北九州市小倉南区の徳力団地に近い北九州モノレールの駅として知られています。公団通りは東京都武蔵野市にある道路名であり、さまざまな公共インフラに「公団」という名称が見られます。さらに、鳩ヶ谷公団住宅という名称のバス停留所も存在し、全国公団住宅自治会協議会などの組織が全国の公団住宅自治会をつなげています。

このように、公団住宅は日本の住宅政策の重要な部分を担ってきた歴史的な施策であり、今日でも多くの人々に利用され続けています。

もう一度検索