福井県立音楽堂

福井県立音楽堂：北陸の音楽文化拠点

1997年9月、福井県福井市郊外に開館した福井県立音楽堂（愛称：ハーモニーホールふくい）は、北陸地方で初めての音楽専用ホールとして誕生しました。67,000平方メートルという広大な敷地に、雪国の伝統的な家屋を思わせる洗練されたデザインの建物が建ち並びます。緑豊かな環境に囲まれたこのホールは、国内外の一流アーティストやオーケストラから高い評価を受けており、その音響の素晴らしさは、世界最高レベルと称賛されています。

世界レベルの音響と充実の設備

音楽堂の中心となる大ホールは、シューボックス型と呼ばれるオーケストラ演奏に最適な設計が施されています。1,456席の客席は、木目を基調とした温かみのある空間で、演奏者の息遣いまで感じられるほど、音の響きが素晴らしいと評判です。特に、2.0秒から2.2秒という残響時間は、オーケストラの豊かな響きを余すことなく堪能できる絶妙な時間です。ホールの音響設計には、コンピュータ・シミュレーションに加え、1/10スケールの模型を使った精密な実験が用いられました。この徹底した音響へのこだわりが、世界最高レベルの音響空間を実現しています。

2004年には、大ホールにドイツ・カール・シュッケ社製のパイプオルガンが設置されました。約2億5千万円をかけたこのパイプオルガンは、5014本のパイプと70ストップを誇り、バロックから現代音楽まで幅広い音楽を美しく奏でます。

一方、小ホールはミニアリーナ型で、室内楽から講演会、映画会まで多目的に利用できます。壁面の装置を変えることで残響時間を調整できるため、様々な音楽表現に対応可能です。大ホール棟にはリハーサル室、中央棟には遮音性に優れた練習室が6室も完備され、音楽家にとって理想的な環境が整っています。

音楽を通じた地域社会への貢献

ハーモニーホールふくいでは、コンサート開催以外にも、地域社会への貢献にも力を入れています。県内の小学生全員を対象としたオーケストラ鑑賞会や、中学生へのクラシック音楽出張演奏など、音楽の楽しさを伝える様々な教育プログラムを実施しています。また、音楽家を育成するための「ハーモニーアカデミー」を開設するなど、未来の音楽家を育てる取り組みにも積極的に取り組んでいます。

毎年夏には、室内楽の普及を目的とした「越のルビー音楽祭」を開催。2019年には、福井県ゆかりの音楽家を支援する「越のルビープロジェクト」もスタートしました。このプロジェクトは、地元の音楽家たちの活動支援を行い、地域文化の活性化に貢献しています。

開館までの道のりとこけら落とし公演

音楽堂の建設は、1986年に建設調査委員会が発足したことに始まります。建設地選定には3年以上を要し、地元住民との意見調整や交通アクセス確保などの課題がありましたが、1991年に福井市今市町に建設することが決定されました。

こけら落とし公演は、1997年9月23日に行われ、県内外から集まったアマチュア奏者で構成された県民オーケストラと合唱団が、岩城宏之氏の指揮の下、マーラーの交響曲第2番「復活」を演奏しました。プロのオーケストラではなく、地元の音楽家たちによる演奏は、音楽堂の開館を盛大に祝うとともに、地域の音楽文化の隆盛を象徴する出来事となりました。

アクセスと情報

音楽堂は、福井鉄道福武線ハーモニーホール駅より徒歩3分の場所に位置し、駐車場も約600台分用意されています。公式ウェブサイト、Facebook、Twitter、Instagramなどからも、公演情報やホールの詳細な情報を確認できます。

ハーモニーホールふくい は、優れた音響と充実した設備、そして地域社会への貢献を通して、北陸地方の音楽文化を支える重要な拠点となっています。

もう一度検索