福島県立美術館

福島県立美術館：信夫山の麓に広がる芸術の殿堂

福島県立美術館は、福島県福島市森合地区、信夫山のふもとに佇む県立美術館です。福島県立図書館と隣接しており、自然豊かな環境の中で芸術に触れることができます。1984年7月に開館した本館は、大高建築設計事務所による設計で、絵画、版画、彫刻、工芸など、実に1600点を超える作品を収蔵しています。

充実したコレクション：多彩な芸術表現の融合

本美術館の大きな特徴の一つは、そのコレクションの多様性です。福島県白河市出身の洋画家、関根正二の作品群は、美術館を代表する収蔵品の一つと言えるでしょう。力強く、時に繊細な表現は、多くの鑑賞者を魅了し続けています。さらに、20世紀アメリカにおける具象絵画のコレクションも充実しており、アメリカ美術史における重要な作品を目にすることができます。また、会津坂下町出身の版画家、斎藤清の作品も数多く所蔵されており、その繊細な描写と独特の表現技法は、日本の版画史における重要な位置を占めています。これらのコレクションを通して、多様な芸術表現に触れ、美術史への理解を深めることができます。

最新設備と快適な鑑賞環境：改修工事による進化

2020年8月から2021年5月にかけて、大規模な改修工事が行われました。この改修工事では、天井やエレベーターの補強、展示室へのLED照明の導入など、来館者の安全と快適性を高めるための様々な改善が施されました。リニューアルされた美術館では、より快適な環境で、充実したコレクションを鑑賞することができます。

アクセス情報：便利な立地とアクセス方法

美術館へのアクセスも容易です。福島交通飯坂線「美術館図書館前駅」からは徒歩約3分という近さです。また、福島駅東口からは福島交通バス市内循環2コースを利用し、「県立美術館入口」停留所で下車、徒歩約4分で到着します。公共交通機関を利用して容易にアクセスできるため、遠方から訪れる方も安心して利用できます。

東日本大震災と原発事故の影響

東日本大震災発生後の2011年3月12日から4月25日までは、震災の影響により閉館していました。また、福島第一原子力発電所事故後には、一部の海外所蔵作品の展示が一時的に拒否されたという報道もありました。これらの出来事は、美術館の運営にも大きな影響を与えましたが、関係者らの努力によって、美術館は復興を遂げ、現在も多くの来館者を迎えています。

関連情報

黒川創氏の著書『福島の美術館で何が起こっていたのか 震災、原発事故、ベン・シャーンのこと』は、震災と原発事故後の美術館の状況について詳細に記した貴重な資料です。本美術館の所蔵作家である大山美信氏をはじめ、数多くの著名な芸術家との関わりも、本美術館の歴史を彩る要素となっています。

福島県立美術館は、地域に根ざした活動を展開しながら、国内外から多くの来館者を集め、芸術文化の発信拠点としての役割を担っています。信夫山の自然と調和した美しい景観の中で、芸術と歴史、そして未来への希望を感じることができる場所と言えるでしょう。

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