移籍

移籍とは

移籍とは、個人や団体が現在の所属を離れ、新たな組織や環境で活動を始めることを指します。この用語は、スポーツ選手がチームを移籍する場合、芸能人が所属事務所を変える場合、あるいはビジネスパーソンが同業他社へ転職する場合など、多岐にわたる分野で使用されます。移籍は、個人のキャリアアップや組織の再編など、さまざまな目的で行われます。

スポーツ界における移籍

スポーツ界では、移籍は選手のキャリアにおいて重要な要素です。特にプロスポーツでは、チームの戦力強化や選手の成長を促すために、様々な移籍の形態が存在します。

アメリカンプロスポーツ

アメリカ発祥のプロスポーツ（野球、バスケットボール、アメリカンフットボールなど）では、以下のような移籍形態があります。

トレード: 選手同士を交換する移籍。
制限付きフリーエージェント: 一定の条件を満たした選手が、所属チームとの契約更新を拒否し、他チームと交渉できる権利。
ウェイバー公示: チームが契約選手を解雇する際に、他チームがその選手を獲得できる機会。
無制限フリーエージェント: 契約満了により、どのチームとも自由に契約できる権利。
ポスティングシステム: 海外リーグ所属選手が、移籍金を設定してMLB球団との契約を目指す制度。
ドラフト: 新人選手を各チームが指名する制度。

競馬

競馬界では、騎手や競走馬の移籍がみられます。

騎手: 中央競馬と地方競馬の間での移籍は、中央競馬が実施する試験に合格する必要があります。過去には、地方競馬の実力騎手が中央競馬への移籍を希望した際、試験内容を巡り議論となりました。後に、一定の条件を満たす騎手には試験の一部免除が認められるようになりました。海外騎手の短期免許制度もあります。
競走馬: 中央競馬と地方競馬間で競走馬が移籍する際、馬主資格や金銭トレードが関係します。海外デビューした競走馬の日本国内への移籍は、一部例外を除き認められていません。

サッカー

サッカー界の移籍は、移籍金制度が特徴的です。選手が移籍する際には、移籍先クラブが移籍元クラブに移籍金を支払うことが一般的です。また、選手交換によるトレードや、期限付き移籍（レンタル移籍）も存在します。欧州では、移籍期間が年2回設定されており、「移籍市場」と呼ばれます。Jリーグでは、日本サッカー協会が定める移籍リストに掲載され、期限までに所属先が決まると移籍となります。

大相撲

大相撲では、部屋の消滅や新設に伴う力士の移籍が一般的です。力士個人としての移籍は原則として認められていませんが、破門などの例外的なケースでは移籍が認められることがあります。部屋の消滅に伴う移籍は、かつては同一部屋への一括移籍が主流でしたが、近年は分割移籍も増えています。

プロボクシング

プロボクシングでは、ジム間の合意と日本ボクシングコミッション（JBC）の認可があれば、ジムの移籍が可能です。移籍金が発生することもあります。トレーナーが独立してジムを設立する場合、そのトレーナーの下で練習していた選手が共に移籍することもよく見られます。2019年からは、移籍に関する所属ジムの承諾が撤廃されました。

プロレス

プロレス界では、団体を統括する組織が存在しないため、移籍は解雇、契約満了、独立などが理由であることが多く、円満な移籍は少ないです。移籍が団体間の遺恨の原因となることもあります。

格闘技

キック[[ボクシング]]や総合格闘技では、ジムの移籍と団体の移籍があり、それぞれルールが異なります。

社会人スポーツ

社会人スポーツでは、チームの休廃部や新チーム設立を除き、国内移籍は稀です。移籍には元のチームからの移籍承諾書が必要となり、これがないと新チームでの1年目の出場が制限される場合があります。ただし、海外移籍はこの限りではありません。

政界における移籍

政界では、議員が所属政党を変えることを移籍と呼びます。新党旗揚げや所属政党の解散が主な理由ですが、既存政党間の移籍もあります。党員数確保のための移籍や、政党間の交換トレードの事例も見られます。比例代表制で当選した議員は、当選時の政党以外への移籍は議員辞職となります。

芸能界における移籍

芸能界では、所属プロダクションの変更を移籍と呼びます。事務所間のタレント移籍、タレントの独立、事務所の合併や消滅による移籍などがあります。グループ内事務所間の移籍もよく見られます。

出版業界における移籍

出版業界では、雑誌の休刊後に別の出版社が題号を買い取ったり、編集部ごと移籍する形で復刊を試みることがあります。また、作家が出版社との意見の相違から版権を引き上げ、他社に移籍するケースも見られます。

映像業界における移籍

映像業界では、放送局やソフトメーカーをまたいでの移籍が見られます。特にアニメでは、シリーズ作品が放送局を移ることが多くあります。また、特撮やドラマでも放送局の移籍が見られます。

この他にも様々な業界で移籍が行われていますが、それぞれの業界で移籍に伴うルールや慣習は異なります。移籍は個人のキャリアや組織の発展に重要な役割を担っています。

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