程一彦

程 一彦 - 台湾料理の名シェフであり薬膳の第一人者

程 一彦（てい かずひこ）、本名は根本 一彦（ねもと かずひこ）。1937年12月14日生まれで、2019年6月23日に81歳で亡くなりました。大阪府大阪市で生まれた彼は、中華料理の中でも特に台湾料理や薬膳に精通した料理人です。彼の料理スタイルは、食材自身の味を大切にし、優しく扱うことに重きを置いていました。

彼は日本人の父と台湾人の母を持ち、追手門学院中学校、灘高等学校を経て、関西学院大学の文学部社会学科を卒業。その後は貿易業に従事しますが、1961年に台湾と香港で一年間の修行を行い、そこで培った技術を基に「台湾料理・龍潭（リュータン）」の二代目オーナーシェフとして登場します。

程は2000年代に放送されたテレビ番組『料理の鉄人』で「中華の鉄人」陳建一をタコをテーマにした対決で破り、番組初の鉄人撃破者となりました。この番組では、料理に取り掛かる際、まずお品書きを書くスタイルが特徴的で、食材を切る際も周囲の動きを確認するため「よそ見包丁」という特技を披露しています。

「料理は攻守二面がないとダメ」という信念を持ち、彼は中華以外にも日本料理やフランス料理など広範な料理に関する深い知識を有していました。NHKの料理番組『きょうの料理』では講師としても多くの影響を与え、特に関西地域ではその存在感が高いと言えます。

程の料理の特徴として「薬膳」が挙げられます。彼はこの分野の第一人者であり、健康に寄与する食事スタイルを提案する著書をも多く出版していました。また、食育の重要性を早くから唱え、幅広い活動を通じてその理念を広めました。

「台湾料理・龍潭」は2010年に高齢を理由に閉店。その後、兵庫県宝塚市に完全予約制のレストラン「リュータン商行」を開店し、デパートの物産展などでも料理の実演を行っていました。

2017年には、フランスの専門誌『ル・シェフ』にて世界のトップシェフ100人に選ばれるという栄誉も受けます。この名誉は、台湾料理の分野では彼が唯一の選出者として認知されました。しかし、彼は2019年に台湾を訪問中に亡くなるまで、情熱を持って料理と食文化の発展に注力し続けました。

さらに、程は料理に関するさまざまな創意工夫を見せており、例えばチャーハンの作り方において、あらかじめご飯に溶き卵を絡める方法を提唱しました。この手法は、後に家庭料理の中でも広く普及することとなります。また、自身のプロデュースによる「程さんのヤキメシの素」などの商品化にも取り組み、手軽に本格的な中華料理を楽しめるようにする活動にも力を注いでいました。

程の人柄は温厚でしたが、修行には厳しさもありました。『愛の貧乏脱出大作戦』では、ビーフン修行の達人として厳しく指導する姿も見られ、その温かさと厳しさの二面性が彼の魅力とされました。また、阪神淡路大震災や東日本大震災の際には炊き出しを実施し、地域社会への貢献を果たしました。

料理人としてのキャリアだけでなく、テレビ番組のレギュラー出演や料理コーナーの講師としても広く知られる存在であった彼は、特に関西圏での影響力が非常に高い存在でした。

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