竜馬がゆく

竜馬がゆく - 司馬遼太郎の代表作

『竜馬がゆく』は、司馬遼太郎による日本の歴史を描いた時代小説で、坂本竜馬を中心とした幕末の激動の時代を生きる人々の姿を描いています。この作品は、1962年から1966年にかけて「産経新聞」の夕刊で連載され、その後、文藝春秋から全5巻として出版されました。1974年には文庫版も刊行され、全8巻として再編されています。

作品の背景と影響

この小説は、坂本竜馬の生涯や人物像を独自の視点で描写し、時にはフィクションを交えつつも、歴史的事実に基づいたドラマや葛藤を生み出しています。そのため、一般的に広まっている坂本竜馬のイメージは、この作品によって大いに影響を受けていると言われています。また、数々のテレビドラマや映画、舞台でも繰り返し取り上げられ、名作としての地位を確立しています。

登場人物の紹介

坂本竜馬

土佐藩を脱藩した志士で、若くして剣術の修行に出ると、黒船来航に触れたことでその運命が変わります。勝海舟に師事し、海軍力をいち早く理解する敏腕です。

勝海舟

竜馬のただ一人の師匠で、幕臣でもあります。彼との出会いが、竜馬の思想や行動に大きな影響を与えます。

おりょう

竜馬の妻で、美貌を持つ一方、自己中心的な面を持つ性格です。竜馬の女性関係に敏感に反応します。

寝待ノ藤兵衛

元盗賊で、竜馬に魅了され彼の側近として活動します。諜報活動も行う特技を持っています。

他にも多くの登場人物がいて、彼らの関係性やドラマが作品の中で深く掘り下げられています。

作品の執筆経緯

司馬遼太郎のこの作品執筆のきっかけは、彼の後輩からの依頼でした。「国の土佐には坂本竜馬という男がいる」と言われた司馬は、最初は乗り気ではなかったものの、徐々に興味を持ち、独自に調査を開始しました。その後、坂本龍馬を描くことが彼の代表作品につながる形となりました。また、誕生日を11月15日と設定したことで、その日付が広まったことも確かな逸話です。

影響を受けたメディア

この作品は、数々の映像化が行われました。1965年には初のテレビドラマ化がされ、その後も大河ドラマや特別番組として多くの人々に親しまれています。特に萬屋錦之介が出演した1982年版が高い評価を受けました。また、漫画版も登場し、現代においても新たなファンを呼び込んでいます。

議論や論争

作品中の言葉遣いについては、差別的な表現が問題視されることもあり、司馬遼太郎自身がその意図を説明する必要が生じました。このような事例がある中でも、彼の創作は今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

『竜馬がゆく』はただの歴史小説にとどまらず、日本人の心の中に生き続ける人物像や、その時代を背景とした人間ドラマを描いた作品として広く知られています。

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