竹下本店

株式会社竹下本店について

株式会社竹下本店は、島根県雲南市掛合町に位置する歴史的な酒造会社です。この企業は、第74代内閣総理大臣である竹下登の実家としても広く認識されています。酒蔵の中には「かけや酒蔵資料館」と「竹下登記念館」が併設されており、訪れる人々に豊かな文化と歴史を伝えています。

創業と発展の歴史

竹下本店の創業は1866年（慶応2年）に遡ります。当時の竹下家は地域の庄屋を担い、名門である田部家から酒造の権利を譲り受けて醸造をスタートしました。初めての商品としては「宮中屋」と名付けられた屋号のもと、銘酒「出雲大衆」を製造しました。現在の酒蔵群は1897年に建てられ、創業から長い歴史を誇ります。

竹下儀造は地元の納税者としても名を馳せていましたが、2003年には醸造を休止し、他社に製造を委託する形に切り替えました。その後、使用されなくなった酒蔵は市に寄贈され、2005年には「かけや酒蔵資料館」として一般に公開されました。さらに、2006年には生家の隣に「竹下登記念館」が設立され、登元首相に関連する貴重な資料が展示されました。

2015年には、地元の有志が運営する会員制地酒造り団体により醸造が再開されるなど、地域と共に歩む取り組みが続けられましたが、2022年には後継者不在のため、酒造事業が田部グループに譲渡され、新たに株式会社田部竹下酒造が設立されました。同年10月31日には、竹下本店としての日本酒の販売が終了し、2023年4月28日には解散が決定しました。その後、同年10月16日に松江地方裁判所から特別清算開始命令が発令され、負債は約1億1700万円に上りました。

主な銘柄について

竹下本店時代に流通していた主な銘柄には、「出雲誉」、「我が道を行く」、「都の西北」などがあります。「出雲誉」は1975年に「出雲大衆」から改名されたもので、登元首相の孫DAIGOの写真を用いたラベルでも知られています。「我が道を行く」のラベルには、登氏の揮毫があしらわれ、DAIGOの姉である漫画家影木栄貴による似顔絵も描かれています。「都の西北」は、先代当主たちの母校である早稲田大学にちなんで名付けられました。また、「出雲大衆」は大正時代からの伝統的な銘柄として復刻されたものです。

資料館の役割

併設されている「かけや酒蔵資料館」では、酒造りに使用されていた道具や歴史的な資料が展示されており、訪問者は歴史を学ぶことができます。また、地元の日本酒の試飲や販売も行われており、地域の文化振興にも貢献しています。さらに、「竹下登記念館」では、竹下元首相の名刺、パスポート、愛用の眼鏡などが展示されており、彼の政治家としての足跡を辿ることができます。

竹下本店は、地域の伝統を守り続け、酒造業界において重要な役割を果たしてきましたが、その歴史は新会社に受け継がれていくこととなりました。

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