竹馬抄

竹馬抄の概要

竹馬抄（ちくばしょう）は、室町幕府における重要な武家家訓で、斯波義将によって記されています。この作品は、自らの子孫や後進のために、武士としての倫理観や心構えを遺すことを目的としています。原文は、『群書類従』にも収められており、書写されたのは永徳3年（1383年）2月9日です。竹馬抄は序文を含む十箇条から構成されており、各条が武士としての行動や考え方についての教訓を提供しています。

内容の紹介

序文

序文では、人間としての本来の在り方について述べ、公共の場での振る舞いや名誉の重要性を強調しています。命が大切である一方で、無駄にすることは恥であり、深く考えた上での行動が求められると説いています。

第一条

人の立ち振る舞いがその人の品格を表すことを述べ、誠実さや外見を整える大切さを強調します。人前での行動に無頓着であってはならず、常に品位を保つよう心掛けることが重要とされています。

第二条

親子関係について教えが述べられ、親の教えを軽んじてはならないと忠告します。親が残した教訓は重要で、従うべきものであるとされています。

第三条

仏神への崇敬について触れ、正直な心を持つことこそが神仏に信じられる道であり、困った時だけに祈ることは真の信仰とは言えないと考えます。

第四条

主君に奉公する心を説き、忠義を持って仕えることが武士の本分であると述べられています。主君の恩に感謝し、忠誠を尽くすことが重要です。

第五条

奉公の仕方については、自らを卑下し、他者を助けることが求められています。己を捨てて他者を優先する態度が大切とされています。

第六条

良い家柄や容姿に頼らず、教養や芸を磨くことが必要だとされています。知識や技を持たないことは見苦しいとし、基本的な教養を身につけるよう戒めています。

第七条

人を使う心得に関して、適材適所で人を使うことの重要性を述べ、心の正直さが物事を成し遂げるカギであると教えています。

第八条

人格の修養について、源氏物語や枕草子を通じて心の在り方を学ぶ重要性が説かれています。友人選びの大切さや教養を深める努力が求められます。

第九条

青年時代に道理を学び、心身を養う必要性を説き、若いうちに心を整えることで成長が図れると説明しています。

第十条

我執を持たず他者を欺かないことが強調され、武士としての品性を持つべきであるとしています。戦いの際にも、この心構えが重要視されています。

著者とその背景

斯波義将に関しては、さまざまな説が存在します。異なる文献『竹馬消息』が同様の内容を持ち、一部には今川了俊の著作との関連性も指摘されています。竹馬抄は、戦乱の時代における武士の理想像を示しており、後の時代においても重要な教訓書とされています。

武家家訓の意義

竹馬抄は、武士の心構えや行動基準を示すことで、社会の指導者として求められる倫理観を提供しています。そのため、江戸時代には広く受け入れられ、政治や倫理に対する高度な思考を促す作品とされています。

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