籠手

籠手（こて）について

籠手は、戦闘時に上腕部から手の甲までを保護するための防具です。主に革や鉄、青銅、さらには強靭な布地など、さまざまな素材が使われます。特に剣道の籠手は、選手の手を守るために重要な役割を果たしますが、実際には銃撃や斬撃から身体を守るための道具としての機能が優先されます。

剣道の籠手

剣道用の籠手は通常、鹿革や牛革、クラリーノといった高品質な素材で作られており、指部分は親指とその他の4本の指に分かれています。この籠手の各部位には、それぞれ名称があり、上から順に籠手頭（こてがしら）、けら、筒（つつ）、籠手布団、手の平部分を手の内（てのうち）、籠手布団を結びつける部分を籠手紐（こてひも）と呼びます。漢字で表記する場合、一般的には『小手』や『甲手』とされています。また、手の内部分は特に使用頻度が高く、劣化しやすいため、必要に応じて革の張り替えなどの修理が不可欠です。

日本における籠手

籠手は、小具足と呼ばれる防具の一部として分類されます。特徴的な筒袖の形状を持つ丈夫な布地に、鉄板や革が縫い付けられており、腕から手の甲までを一体に保護する構造になっています。手の甲を保護する手甲（てこう）という部品が付属していますが、時が経つにつれ、摘手甲（つみてっこう）と呼ばれる部品が新たに加わり、親指を独立して保護するスタイルが登場しました。これは、弓を射る際に指の自由さが求められることが背景にあるとされています。

戦いにおいて、一般的な装備では上級武士が大鎧を着用する際には左手のみに籠手を装着し、下級武士は両手に着用する傾向がありました。しかし、戦術や戦闘スタイルの変化に伴い、上級武士も積極的に両手に籠手を使用するようになりました。

さらに、籠手はその形状によって多くの種類に分類されます。例えば、鯰籠手、筒籠手、瓢籠手、篠籠手、仕付籠手などがあり、また独特な形状を持つ指貫籠手（さしぬきごて）や肘から手の甲までの半籠手も存在します。時には、布地に鎖を縫い付けた「鎖籠手」も見られ、『広辞苑』にも記載されています。

西洋の籠手

一方、西洋ではローマ時代には前腕部分を覆った籠手は少数で、指の保護が不十分でした。しかし、十字軍時代になると、鎖編みの二股手が現れ、これはチェインメイルと一体となっていました。この時代のものは二股タイプが「ミトン」、五指タイプが「ガントレット」と呼ばれ、それぞれ役割が異なることが認識されていました。板金鎧が進化すると、籠手も手袋型に進化し、拳部分には相手に打撃を与えるためのスパイクが付けられたものも存在しました。

籠手は武士や戦士にとって欠かせない防具であり、その進化の背景には常に戦闘技術や戦術の変化が影響を与えています。日本における重要な文化遺産としても、鯰籠手や義経籠手といった歴史的な作品が残されており、現在も多くの人々に愛されています。

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