粟田貴也

粟田貴也：一代で巨大外食チェーンを築いた実業家

プロフィール

粟田貴也（あわた たかや）は、1961年10月28日生まれの実業家であり、トリドールホールディングスの創業者兼代表取締役社長です。兵庫県神戸市で生まれ育ち、2023年8月には1460億円以上の資産を保有するビリオネアとして知られています。

生い立ちと転機

粟田氏は、警察官の父と母、2歳上の兄との4人家族で育ちました。3歳の時に加古川市へ転居し、中学校に進学した頃に父がくも膜下出血で他界。その後、母が内職で家計を支えながら、加古川東高等学校を卒業。兄は警察官になりました。1981年に神戸市外国語大学に入学するも、1年時に読んだ雑誌の記事に影響を受け、ケーキ職人を志すようになります。その記事には、神戸でケーキ店を経営する社長が愛車と共に写っており、粟田氏に大きな衝撃を与えました。大学時代には、後に株式会社バルニバービを創業する佐藤裕久氏と出会い、共にサークル活動をしました。しかし、店を持つという夢を叶えるため、大学を中退します。1982年、粟田氏は新聞の求人広告で「月収50万円」のトラック運転手の仕事を見つけ、早朝から深夜まで働き、資金を貯めます。気がつけば貯金は600万円に達していました。深夜、トラックターミナルの近くで軽トラックで居酒屋を営む若い男女の会話に触れ、「憩いの場」を作りたいと居酒屋経営に夢を転換させます。

トリドール創業

1985年8月、粟田氏はトラック運転手で貯めた資金を元に、加古川市に「トリドール三番館」を創業しました。店名は、幼馴染の女性と結婚する際、「生涯に焼鳥屋を三店持ちたい」と語ったことに由来します。1990年には、有限会社トリドールコーポレーションを設立し、代表取締役社長に就任。1995年には、株式会社トリドール（現在のトリドールホールディングス）へと組織変更し、代表取締役社長に就任しました。30代後半、父の故郷である丸亀市を訪れた際、讃岐うどんに出会い、これが後に「丸亀製麺」を創業するきっかけとなります。

丸亀製麺の誕生

2000年11月、粟田氏は「丸亀製麺」1号店を加古川市にオープンしました。店名の由来は、「父の故郷の丸亀と、長寿の象徴である鶴亀の亀に丸をつけたのが縁起が良い」と考えたからです。2003年9月末には、JR神戸駅近くの商業施設地下1階のフードコートにセルフ式の「丸亀製麺」を出店。「安い」「早い」だけの店が多い中で、手作りにこだわったうどんを提供することで差別化を図ります。2004年1月、鳥インフルエンザの影響で焼き鳥店の経営が厳しくなったことを機に、うどん店へと軸足を移します。2007年3月期には、「丸亀製麺」の売上が全体の4割近くを占め、焼き鳥部門を初めて上回りました。7年間で74店舗に拡大し、業容を大きく拡大しました。2006年2月には東証マザーズ市場へ上場、2008年12月には東証一部へ昇格しました。2011年4月にはハワイに海外1号店をオープンし、その後上海、ソウル、モスクワ、ジャカルタなどにも展開。M&Aも積極的に行い、2020年末には国内857店舗、海外237店舗にまで成長させました。2011年7月には、「丸亀」の名前を全国に広めたとして、香川県丸亀市の文化観光大使に任命。2023年7月18日には、トリドール三番館創業および丸亀製麺1号店開店の地である加古川市の観光大使に任命されました。

経営哲学と実績

粟田氏の好きな言葉は、「功崇惟志、業広惟勤」（志を立てれば結果は高くなり、勤勉であれば事業は広くなる）と「再斯可也」（物事は二度考える程度で十分、迷ったらやる）。これらの言葉からも、彼の経営に対する強い信念と行動力が伺えます。丸亀製麺をはじめ、「とりどーる」、「肉のヤマキ商店」、「コナズカフェ」、「かつ丼 トンテキ 豚屋とん一」、「ラー麺ずんどう屋」など、数々のブランドを創設し、外食業界に大きな影響を与えています。

メディア出演

粟田氏は、「ジョブチューン アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」や「カンブリア宮殿」などのテレビ番組にも出演し、自身の経営哲学や事業戦略を語っています。これらのメディア出演を通じて、多くの人々にインスピレーションを与えています。

まとめ

粟田貴也は、トラック運転手から身を起こし、一代で巨大外食チェーンを築いた実業家です。彼の波乱万丈な人生と経営哲学は、多くの人々に勇気と希望を与えています。成功の裏には、常に挑戦し続ける強い意志と、人との出会いを大切にする姿勢がありました。トリドールホールディングスは、今後も外食業界を牽引する存在として、さらなる発展が期待されます。

もう一度検索