紀伊民報

紀伊民報について

紀伊民報（きいみんぽう）は、和歌山県で地域情報を届ける夕刊の地方新聞です。運営は株式会社紀伊民報により行われ、主に田辺市秋津町に本社を構えています。配達エリアは県南部を中心に、和歌山市などの北部地域、さらに山間部にまで及びます。夕刊の形式を取るため、朝刊エリアでは2日前の記事が家庭に届く仕組みです。民報では、国会や県知事選挙などの主要な選挙が行われる際には速報を発信するため、夕刊エリアでもその日の朝刊として配達されることがあります。

紙面の特徴

紀伊民報の紙面は、田辺市を中心に紀南地域の市政、経済、社会、スポーツの情報を幅広く取り扱っています。さらに、全国的なニュースも扱い、共同通信から配信された記事を2面目に掲載の上で、家庭に重要な情報を提供しています。また、「おくやみ情報」が掲載されることもあり、多くの家庭は全国紙と併読する傾向が見られます。紀伊民報は全国郷土紙連合にも加盟しており、地域に根ざした情報源としての役割を果たしています。

歴史

紀伊民報の歴史は、1911年、田中茂による『紀伊新報』の創刊に始まります。岡山・新宮・御坊に支局を設置し、地域に密着した報道を展開していました。しかし、満州事変や日中戦争といった時代背景の中で、新聞統制により1942年には廃刊に追い込まれました。この際、特別高等警察の介入もあり、抵抗した編集者が廃刊処理を強いられる事態に直面しました。

戦後、1946年に復刊された『紀州民報』は1948年に『紀伊民報』に改称され、隔日刊から日刊に移行しました。1970年代には社屋の新築やオフセット輪転機の導入がなされ、技術的にも進展を見せました。これにより、地域の情報メディアとしての姿勢をさらに強化しました。

朝日新聞との提携

紀伊民報は、2010年4月から朝日新聞社との業務提携を開始し、記事の配信を行っています。これにより、特定の地域に住む家庭には最新の情報を効率的に届けることが可能になり、地域住民にとっての価値を高めています。

テレビ番組表の掲載

紀伊民報では、紙面の最終ページでテレビ番組表を掲載しています。前日の夕方からの地上波番組や、地元ラジオ局の番組情報も含まれています。関西圏の新聞ではテレビ大阪の番組は載せられていませんが、和歌山県内のテレビ和歌山の番組がフルサイズで掲載されており、地域の視聴者に便利な情報を提供しています。

不祥事

2017年には福島県の山火事に関する報道で風評被害を引き起こす事例がありました。この際、知人の情報を基にした記事が議論を呼び、最終的には謝罪に至りましたが、その内容の訂正は行われなかったことから、情報提供の仕方に対する注意が必要であることが改めて認識されました。

紀伊民報は、長い歴史の中で地域の情報発信の重要な役割を果たし続けており、今後も地域住民にとって欠かせない存在であり続けることが期待されます。

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