紅ほっぺ

紅ほっぺ（べにほっぺ）

概要

紅ほっぺは、静岡県で開発されたイチゴの品種で、その特長は大きな円錐形の果実と、果肉の中心まで美しい赤色が広がっている点にあります。この品種は果皮がしっかりしているため、単に生で食べるだけでなく、製菓材料としても非常に適しています。2022年時点では、紅ほっぺは日本におけるイチゴ生産量の上位5品種、すなわちとちおとめ、あまおう、ゆうべに、ゆめのかとともに名を連ねています。このような人気の背景には、甘みと酸味のバランスが取れた食味が影響しています。

紅ほっぺは特定の病害虫への耐性こそ持っていませんが、炭そ病に関しては章姫や女峰に比べて耐性がやや良好で、うどんこ病や角斑細菌病に対しても章姫よりは少し優れた性能を見せます。

開発の経緯

紅ほっぺの開発は1994年に始まりました。当時静岡県で主に栽培されていた章姫は、果皮が傷みやすく、東京市場への輸送に適さないという問題がありました。さらに、果実の赤さも見た目の価値に影響を及ぼしていました。こうした背景を受けて、静岡県農業試験場では章姫にさちのかの花粉をかけて交配を行い、新しい品種の育成に着手しました。

選抜過程で得られた「94-9-2」は、章姫と同等以上の収量や食味、果実の硬さ、そして果肉の赤さが特徴でした。1997年には系統名「静岡11号」が与えられ、現地試験が行われました。その結果、栽培のしやすさや収量の良さが確認される一方、果実の大きさや果皮色の問題が指摘されました。1999年に「紅ほっぺ」としての品種登録を出願し、2002年には正式に登録されるに至ります。命名の際には、果皮の鮮やかな赤と、食べた時の満足感にこだわりが込められています。

中国における栽培

また、紅ほっぺは中国市場でも「红颜草莓」として知られ、大規模に栽培されています。2007年には四川省で初めて章姫の苗木が導入され、その後広く栽培されるようになりました。中国における紅ほっぺの人気も高まり、イチゴ栽培の一環として重要な役割を果たしています。

結論

紅ほっぺは、静岡県が誇る独自のイチゴ品種であり、その食味や栽培のしやすさで多くの人々に愛されています。生食はもちろん、デザートや製菓材料としても広く利用されています。今後、紅ほっぺがさらに普及し、全国的なイチゴの名品として認識されることが期待されます。

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